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今後もSPARC64プロセッサーを継続的に強化

性能と信頼性を極めた富士通のUNIXサーバー「SPARC M10」

2013年01月21日 06時00分更新

文● 渡邊利和

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性能が2倍に向上したSPARC64 X

概要説明を行なった富士通のシステムプロダクトビジネス部門長 執行役員常務の豊木 則行氏。説明会終了後は自ら展示機の前に立ってLLC冷却システムの構造を丹念に説明するなど、独自ハードウェア技術に対する愛着と自信を感じさせた

 SPARC M10シリーズのプロセッサーは、同社のSPARC64シリーズの10世代目となるSPARC64 Xだ。前世代に当たるSPARC64 VII+との比較では、コアあたりの処理性能が約2倍に向上した上、プロセッサーあたりのコア数は4倍になっており、処理性能は計約8倍に向上している。28nmプロセスを採用し、コア当たり同時2スレッド実行が可能だ。

プロセッサーであるSPARC64 Xの概要。コア性能、コア数のいずれも前世代に比べて大きく強化された

SPARC64 Xのウェーハーとパッケージ

 SPARCのオリジナルの開発企業であったサン・マイクロシステムズがオラクルに買収されたこともあり、SPARC64 Xでは、データベース処理を高速化するための機能をプロセッサー内に組み込んでいる点も特徴となる。同社ではこれを“ソフトウェア・オン・チップ”と呼んでいるが、結果として10進演算性能が430倍、暗号処理性能が163倍、データ比較が15倍、データコピーが12倍、ハッシュ処理が7倍などといった大幅な処理性能向上が実現したという。こうした処理性能向上には、SPARC64プロセッサーの8世代目/9世代目が採用されたスーパーコンピューター“京”や“PRIMEHPC FX10”の経験も活かされているという。

SPARC64 Xで取り入れられたソフトウェア・オン・チップの概要。ソフトウェア側が対応する(処理をプロセッサ側に任せるようにする)ことで大幅な性能向上が実現できる

 なお、サン・マイクロシステムズを買収したオラクルがSPARCプロセッサーの新規開発には消極的な姿勢を示していることもあって懸念される今後のプロセッサー開発ロードマップだが、富士通では今後もSPARC64プロセッサーを継続的に強化していく方針を示している。同社が明らかにした今後のロードマップでは、今年から来年に掛けて次期SPARC64として「最新テクノロジー/28nm強化版」を、2015年には次々期SPARC64として「最新テクノロジー/20nm」を投入する計画となっている。

SPARC64の今後のロードマップ

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