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サン買収後に開発したプロセッサーを初搭載

オラクル、“世界最速”を謳う新SPARCサーバー発表

2013年04月18日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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4月16日、日本オラクルはSPARCサーバーの新製品として「SPARC T5」および「SPARC M5」を発表した。ミッドレンジに位置づけられる「SPARC T5」サーバーは各種ベンチマークテストで17個の世界記録を樹立したといい、これをもって同社は「世界最速のマイクロプロセッサー」だと表現している。

オラクルのソフトウェアに最適化

 新製品として発表されたサーバーは、「SPARC T5」サーバーが4機種(T5-2、T5-4、T5-8、T5-1B)と、「SPARC M5」サーバーが1機種(M5-32)。T5サーバはいずれも3.6GHz 16コアの「SPARC T5」プロセッサーを使用しており、各機種の違いはプロセッサー数となる。なお、T5-1Bはブレードサーバー「Sun Blade 6000」用モジュールとなっている。M5サーバは、3.6GHz 6コアの「SPARC M5」プロセッサーを使用し、M5-32では32プロセッサーを搭載する。

SPARC T5サーバーとSPARC M5サーバーの概要

 “世界最速”のSPARC T5プロセッサは、前世代のT4に比べて5倍のアプリケーション性能を達成するという。ただし、この比較はあくまでもシステムレベルで行なわれており、プロセッサー単体の性能向上ではない。T5-8とT4-4ではプロセッサー数が2倍になっているので、プロセッサー単位での性能向上幅は単純に2.5倍と考えられる。さらに、T5はコア数がT4の2倍に増加しているので、コア当たりの性能では1.25倍とみなせる。この結果からも、T4、T5、M5は基本的に同一コアを共用しているということが理解できる。

SPARC T5が達成したベンチマーク世界記録の一例

同社は、SPARCの性能向上幅はIBMやインテルのx86系プロセッサーを上回っているという。ただし、同社の性能値はプロセッサー単体ではなくシステムレベルでのものだと思われる

 プロセッサーの技術的な詳細は語られなかったが、米オラクルのFAQページにはM5、T5、T4の各プロセッサーはいずれも同一のコアを共用すると説明されている。コア当たりの同時実行スレッド数はいずれも8で共通するが、T4とT5を比べると、プロセッサー当たりのコア数が8から16に倍増しており、これとクロック周波数の向上(T4は2.85/3.0GHz)が性能向上に寄与していると見られる。一方、M5ではプロセッサー当たりのコア数は6コアに減少し、同時にL3キャッシュの容量が48MBとT5(8MB)の6倍に大幅増量されている。コア数を減らした分のダイ面積をキャッシュに回した、ということのようだ。また、プロセッサー当たりの最大メインメモリ量は、T5が512GB、M5が1TBとなっており、ここでも2倍の差がつけられている。

 また、同社の特徴的な高速化手法として、同社が“Application Accelerators”“Software in Silicon”と呼ぶ取り組みがある。これは、同社のソフトウェアとして代表的なデータベースおよびJavaで多用される処理の一部をプロセッサー側に組み込んで高速化を図ることにより、アプリケーション処理性能を大幅に引き上げるというものだ。ソフトウェアとハードウェアの密接な連携を謳う同社ならではの取り組みであり、ユーザーが同社のSPARCサーバーでどのようなソフトウェアを実行するかを理解していればこその手段である。

同社ならではの最適化手法である“Application Accelerators”の概要

 概要説明を行なった米オラクル・コーポレーションのシニア・バイスプレジデント システムズ・セールス アジア・パシフィック&ジャパンのエイドリアン・ジョーンズ氏は、T5/M5プロセッサーがサン・マイクロシステムズ買収後に開発されたオラクルとして初のプロセッサーであることを強調し、3年かけてソフトウェアとハードウェアの連携を高めてきた同社の取り組みの象徴的な成果の1つだと位置づけた。

概要説明を行なった、オラクル・コーポレーション シニア・バイスプレジデント システムズ・セールス アジア・パシフィック&ジャパンのエイドリアン・ジョーンズ氏

 価格は、T5-8が2912万7074円から、T5-4が1604万8592円から、M5-32が6593万7553円から、などとなっている。

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