連覇の夢を賭けて2台体制!
だがGTの壁は高く、険しかった
2012年。2月に開催されたフィギュアの祭典「ワンダーフェスティバル2012[冬]」にて、ミクGTプロジェクトの今年のチーム体制が発表された。前年からチラホラ噂はあったが、なんとBMW Z4の2台でSUPER GT 2012年シーズンに挑むことになった。しかも、チャンピオンマシンであるミクZ4は谷口選手に加え、GT500クラスやスーパー耐久といったレースで活躍する片岡選手、Mirai Z4は番場選手がエースとなり、相棒には2010年以来となる佐々木選手が加入し、その万全の体制はファンもライバルチームも驚愕した。
だが、マシンのアップデートが開幕戦に間に合わず、2011年モデルで2012年版のハンディーを背負わされることになり、若干の暗雲が立ちこめた。アップデートは第4選のSUGO戦まで待たなくてはいけなかった。
第1戦 岡山国際サーキットは(関連記事)、2011年モデルとはいえミクZ4が予選7番手、決勝はなんと3位表彰台をきなり獲得。谷口・片岡コンビの実力を周りに示した。Mirai Z4は開幕前のクラッシュが響いてしまい、予選が23位といきなり沈んだものの、決勝ではなんとか15位に押し上げてのゴールだった。
第2戦 富士スピードウェイでのトピックスといえば、良い出来事はミクZ4の優勝。悪い出来事はMirai Z4のクラッシュだろう(関連記事)。スタート直前に雨が降ってきて、フォーメーションラップ終了と同時にピットに駆け込むマシンたち。ミクZ4はピットに、Mirai Z4はそのままスリックで行くというバクチに出た。ミクZ4はライバルたちよりも早めのピットインで最後まで逃げ切る作戦で見事に優勝を勝ち取った。とくに、GT00マシンにぶつけられてからの谷口選手のキレた走りは語りぐさとなっている。Mirai Z4は予選日の練習走行でのクラッシュに加え、決勝レース中も追突されてエアジャッキが入りにくくなるという不幸に見舞われたものの、11位でチェッカーを受けることができた。
SUPER GT唯一の海外ラウンド、第3戦 セパン(マレーシア)(関連記事)。去年はミクZ4に初優勝をもたらした地だったが、今年はそうもいかなかった。2位でフィニッシュかと思われたファイナルラップ。コースの途中でミクZ4はストップしてしまう。理由はなんとガス欠! ここからミクZ4の苦難が始まったと言っていいだろう。佐々木選手が初セパンとなったMirai Z4だが、12位でゴールした。セパンでは2台揃ってスーパーラップに進出するも、去年に引き続きなぜか曲がかからないという、あまりうれしくないお約束が炸裂したのだった。
日本に戻ってきてのレースは第4戦 スポーツランドSUGO(関連記事)。宮城県のSUGOは毎年マモノが現われると揶揄されるが、それは今年も同じ。ミクZ4が2012年モデルにアップデートされて初めてのレースだったのだが、予選の結果はなんと2台ともスーパーラップ圏外。本国のBMWからも関係者が来ていただけに、この結果は悔しい以上のものがあった。ミクZ4が15位、Mirai Z4が16位というグリッドからのスタートになった決勝では、レース直前にまさかの土砂降りになる。慌ててタイヤをチェンジするチームもいたが、グリッドウォーク中には雨は乾いてしまった。レースはクラッシュが多発で荒れに荒れたが、それでもミクZ4は7位でフィニッシュ。2012年モデルにアップデートしなかったMirai Z4も11位であった。
次は4年ぶりに1000kmの走行距離が復活した、第5戦 鈴鹿サーキット(関連記事)。予選ではミクZ4が3位、Mirai Z4が10位と期待できる順位だったが、決勝レースはミクZ4が片岡選手がドライブする第1スティントでガス欠という悲しい結果に終わってしまった。今季2回目のガス欠はチームもファンも、大きく落胆した。そんな中、Mirai Z4は1000kmのロングディスタンスを走りきり、なんと7位でフィニッシュ。これには応援シートも大盛り上がりであった。
第6戦は再び富士スピードウェイで開催された(関連記事)。予選順位はミクZ4が7位、Mirai Z4が13位。今年はこの順位付近が多いような気がする。決勝レースではタイヤ無交換作戦を敢行。しかし、一時期は4位を走っていたものの、タイヤがきつかったのか、ライバルたちに抜かれて8位でチェッカーを受けた。Mirai Z4は11位と、あとちょっとが届かなかった。去年は圧倒的速さを見せ、今年の第2戦では作戦で優勝をもぎ取った富士で、まさかの苦しいレースだった。
去年は苦しかった第7戦 オートポリス(大分)だが、今年は逆に相性が良いという。コーナリングと燃費性能でほかのFIA-GT勢に対してアドバンテージがある、というのが当初の下馬評だった。だが、予選日から霧や雨であまり満足に走れず、ミクZ4が11位、Mirai Z4が19位という結果に終わってしまう。決勝日も濃霧が発生し、朝のフリー走行が丸々キャンセルという自体になり、初オートポリスの佐々木選手は予選日と合わせて数周しか走らないまま決勝を迎えることとなった。ミクZ4は途中でピットレーン速度違反のためドライブスルーペナルティーを課せられてしまったが、谷口選手と片岡選手の快走で5位でフィニッシュすることができた。Mirai Z4はファイナルラップにマッハ先輩に抜かれてしまい、12位でゴールした。このレースの結果で、ミクZ4の2連覇は残念ながらなくなってしまったのだった。
チャンピオン争いから脱落してしまったミクZ4、そしてMirai Z4にとって、最終戦のツインリンクもてぎは決して消化試合ではなく、来年に向けてひとつでも上の成績でゴールをしなければいけない。もてぎは今年のZ4の特性上、苦手だろうと予想されていた。しかし、予選ではミクZ4がノックアウト予選を最後まで勝ち抜き、7番グリッドを確保した。Mirai Z4はいまひとつタイムが上がらず予選1回目で脱落、18位だった。決勝は大雨でセーフティーカーランでのスタート。ミクZ4は序盤の片岡選手の走りで7位から4位まで一気にジャンプアップ。そして、タイヤ無交換作戦で谷口選手にステアリングを託す。Mirai Z4も順位をあげながら番場選手から佐々木選手に交代したものの、途中でコースアウトを喫してしまい大きく順位を落としてしまう。ミクZ4は織戸選手のランボルギーニとの激しい3位争いの末、表彰台には上れなかったが4位という成績で終えることができた。また、Mirai Z4も一度は沈んだ順位を17位まで上げてゴールしたのだった。
連覇は難しいということを改めて思い知らされた2012年シーズン。シーズン途中にはマシンも最新モデルにアップデートし、谷口選手の相棒にはチャンピオン経験もある片岡選手が加入したが、このパッケージをもってしても非常に厳しいシーズンだった。運が悪かったり、性能調整で苦しめられた部分もあったが、それ以上に悪い流れが払拭できなかったように思う。最終的にドライバーズランキングはミクZ4(谷口・片岡)が5位、Mirai Z4(番場・佐々木)が22位。そして、チームランキングはミクZ4が4位、Mirai Z4が15位という成績に終わった。
2台体制は今季限りのスペシャルパッケージだと、安藝社長は2月の参戦発表会で言っていた。恐らく来年も参戦するとすれば、1台体制に戻るだろう。どのような体制になるかは当分我慢だが、今後は忘年会やカート大会などでチームと触れあう機会はあるので、最後まで今年のチーム関係者、ドライバーを応援しよう!
ちなみに、明日開催されるGSR忘年会はドライバー、レーシングミクサポーターズ、チーム関係者が全員集合する今年最後の機会。忘年会中のプレゼント大会では、レーシングミクサポーターズのみんなが使って汗や涙が染みこんだ傘、ドライバー全員のサイン入りポスターなどなど数多くの景品が当たるらしいので、申し込んでいない人は今からでもポチろう!
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