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最新パーツ性能チェック 第134回

VisheraことAMD「FX-8350」は低予算自作に革命を起こすか?

2012年10月23日 13時01分更新

文● 加藤 勝明

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ライバルはCore i5-3570K

 さて今回ベンチで比較するにあたり、インテル製CPUは何を使えばよいのか? フラッグシップ対決なら「Core i7-3770K」となるが、今回は価格ベースでの対決にした。なぜなら、AMDが提示する価格は対抗するライバルCPUの価格にキッチリと合わせてあるからだ(悪く言えば“価格なりの性能”ということだ)。
 そこで今回は実売1万8000円前後で流通している「Core i5-3570K」との対決をメインとしてみる。さらに同じアーキテクチャで設計されたAMD Aシリーズから「A10-5800K」と、これと同レベルのCPU能力を持つ「Core i3-3225」を準備した。 また、FXシリーズは内蔵GPUを持たないため、エントリークラスの「Radeon HD7750」も加えている。

FXシリーズテスト環境
CPU AMD「FX-8350」(4GHz)
AMD「FX-8150」(3.6GHz)
マザーボード ASUSTeK「Crosshair V Formula」(AMD 990FX)
メモリー DDR3-1600 4GB×2
ビデオカード ASUSTeK「HD7750-1GD5」(Radeon HD 7750)
ストレージ Intel SSD330 120GB
電源ユニット 玄人志向 KRPW-G630W/90+(630W、80PLUS GOLD)
OS Windows7 Professional SP1(64ビット)
ドライバー Catalyst 12.9(β)
Aシリーズテスト環境
CPU AMD「A10-5800K」(3.8GHz)
マザーボード MSI「FM2-A85XA-G65」(A85X)
  その他のパーツはFXシリーズの環境と共通(ビデオカードを除く)
Core iシリーズテスト環境
CPU Intel「Core i5-3570K」(3.4GHz)
Intel「Core i3-3225」(3.3GHz)
マザーボード ASUSTeK「P8Z77-V PRO」(Intel Z77)
  その他のパーツはFXシリーズの環境と共通(ビデオカードを除く)

ベンチで勝ち、アプリで負ける

 一番気になるCPUの馬力からチェックしてみよう。まずは3DCGのレンダリングで計算能力を計る定番ベンチ「CINEBENCH R11.5」だ。

CINEBENCH R11.5 (単位:score) better→

 まずFX-8150からの性能向上率は11~14%。これは前述の「クロック上昇分含みのIPC向上率」とほぼ一致する。また、同アーキテクチャのA10-5800Kに対しては、3次キャッシュ分とコア数の多い分、スコアを確実に上積みしていることがわかる。
 しかしそれでも1コアあたりの性能は現行のCore iファミリーに大きく水をあけられている。コア自体の処理効率は今回も期待してはいけないようだ。

 一方マルチコアテストのスコアは、8コアのパワーが炸裂しCore i5-3570Kを上回った。4コア4スレッドのCPUに対してのわずか0.55ポイント差というのは少なすぎるが、実売1万8000円のCPUと考えたら、割と計算力の稼げるCPUになったといえるだろう。

 ではこの8コアのパワーを一番使える作業は何かといえば、動画のエンコードだ。そこで「TMPGEnc Video Mastering Works 5」を使い、再生時間67秒のAVHCD動画(1920×1080ドット、約212MB)をiPad用(1280×720ドット、VBR)に変換する時間を比較した。エンコーダーはCPUのみを使う「x264」、ビットレートなどはデフォルトのまま、1パス処理と2パス処理のそれぞれで処理時間を比較する。

TMPGEnc Video Mastering Works 5(AVHCD→MPEG4/単位:秒) ←fast

 今度はCINEBENCHのようにはいかなかったようだ。処理時間だけで判断すると、Core i5というよりはCore i3に近い馬力になる。AMD製CPUへの最適化度不足という側面も考えられるが、CPUパワー依存の実アプリでは、Core i3程度に落ち込むという点は無視できない。

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