CGソフト『MMD(MikuMikuDance)』がいま、非常に熱い! アマチュア3Dアニメ作者たちが腕を競い合う夏の大会「第9回MMD杯」は、9月8日に閉幕した。「やっぱりあの作品が優勝!?」と、ドキドキの結果は公式ページからご覧いただきたい。
「なんか楽しそうじゃない! ところでMMDってなに?」そんな皆様のため、本特集は全4回にわたってMMDの魅力を余すところなく紹介してきた。第1回、第2回、第3回と、まとめて読んでもらえれば、MMDがどえらいことになっているのが分かるはず!
バンド、ダンス、モーション、エフェクト――
MMDにはいろんな種類の『魔法使い』がいる
「MMD作品」と一口に言っても、王道である「ボカロPV」から、PV風ストーリーもの、ドラマ、はたまたCGモデルやソフト・エフェクトの配布動画であったり、その種類は千差万別。MMDのクリエーター・MMDerたちは、自分の得意ジャンルで、その技量を競ったり、自分の世界の追及を深めている。
これまでの連載で、MMDがどういうソフトで、何がすごいのかと同時に、コツコツと作品を作り続ける労力、しんどさもお分かりいただけたと思う。そこで最終回の今回は、さまざまなジャンルや「技術」を売りに動画を作っているMMDerたちに登場をお願いした。
いったい、どんな思いで作品を作り、楽しさを見出しているのか――各ジャンルの代表者7人に、インタビュー形式で話をうかがった。
すべては愛のなせるワザ!美しすぎる3Dを作る「MMDer」たち 目次
・【MMD PV】バンドエディションの魔法使い TARAIさん
・【ダンス】ダンス、モーションの達人① ラジP
・【ダンス】ダンス、モーションの達人② PACさん
・【モーション】物理演算の魔術師 ビリヤードP(ろっしさん)
・【モーション】コミカルな動きはNo.1 ドロヌマP
・【エフェクト】MMEにこの人あり! ビームマンP
・【エフェクト】電脳空間を操るエンターテイナー 悪徳金融1号
「MikuMikuDance」
ジャンル:3DCGソフトウェア
作者:樋口優(樋口M)さん
開発元:Vocaloid Promotion Video Project(VPVP)
対応OS:Windows
ライセンス:フリーウェア
公開:2008年2月24日(最終更新:2011年10月25日)
バンドエディションの魔法使い/TARAIさん
ボーカロイド曲にMMD動画をつけるMMD PV。中でも、BE(バンドエディション)と呼ばれる動画は、いまやMMD動画の花形。その魅力はなんといってもリアルな歌唱や演奏だ。7月に投稿されたTARAIさんの『夏に憑かれたピエロ』は、それに加えてリアルなカメラワーク、真夏の炎天下のバンドフェスティバルの色彩、空気感を見事に表現し、MMD通をもうならせた。そんなTARAIさんに、BE動画作りの動機や楽しさを聞く。
あすなろP作詞作曲、T2さんMIX・演奏曲に、TARAIさんがBE動画をつけたコラボ作品。ライトな曲調と、可愛さ、空気感の表現と、見ていて楽しくなることうけあい。 |
Interview with TARAI――
「バンドをやりたかった。その願望をMMDでかなえている感じですね」
── そもそも、MMDを始めたきっかけは?
最初、スピッツのカバーでDTMを始めたんです。で、ニコニコに投稿する段階になって、絵をどうしようかなぁと。で、チキンなんで借りることもできず(笑)、いろいろ調べていたら、無料でアニメを作れるMMDというのがあるらしいぞと。それでできたのが『夏の魔物』なんですが、バンド形式になったのは、いろいろ調べている段階で、ねるどらさんのBE(バンドエディション)動画に出会ったのが大きいです。
【猫村いろはBAND】スピッツの夏の魔物【MMD】 |
―― それまでに、3DCGの経験はあったんですよね。
「3DCGってなんですか」ぐらいの知識です。音楽のほうも、吹奏楽はやってましたが、バンドもやってないです。夏の魔物は、1週間ぐらいでDTMの使い方を覚えて、1ヵ月ぐらいでMMDを講座動画などで勉強しつつ、動画を作りました。
―― えーーっ、そうだったんですか! でも、BEって大変ですよね、登場人数多いし。
ドラムはめんどくさいと思いましたね。でも、自分が学生時代にバンドをやりたくて、できなかった。そういう願望を今かなえている感じですかね。自分ではできないから、画面のなかでやってもらう。そんな感じです。
―― 動画の中のリアルな空気感とか楽しさというのは、そういうところから出ているんですね。カメラや、映像については勉強されたんです?
いえ。動画も、コンテなんかも作ってないです。ただ、バンドのライブ映像はものすごく見て、お気に入りリストは作っています。過去に見た、そういう蓄積の中から、イメージができてきているのかもしれません。
―― なんかすごい。ところで、MMDの作業って、孤独で大変じゃないですか。それでも作るという楽しさって、TARAIさんの場合なんだと思います?
PVの場合、つきつめると、目的は曲の再生を伸ばすことにあると思うんです。たとえば、動画を褒められるより「曲がいい」ってコメントが付くと嬉しいから。ただ、自分の場合、曲はあすなろさん、MIXや演奏はT2さんと、コラボで作っていて、曲から絵作りの段階まで、3人で打ち合わせしつつの制作です。そういう、動画だけでなく曲作りにも関わっているという部分が、一番楽しいですね。まあ、自分はキーフレーム打つだけなんですが(笑)。
―― TARAIさんは、バンドメンバーの動きもすごいわけですが、モーションへのこだわりもありますよね。
MMDの場合、多少オーバーアクションのほうが見栄えはすると思うんですよね。ただ、今の曲に会うのは、リアルなモーションだと思っています。なので、あえて見栄えのしないよう抑えて作っている部分はあります。
―― 最近の作品、たとえば「夏に憑かれたピエロ」だと、一日の作業時間はどれぐらいです?
あれの場合は3ヵ月ぐらいかかったんですが、だいたい、1日4~6時間ぐらい?
―― え、そんなに。これから始めようという人には敷居が高すぐる(笑)。
じゃあ、1~2時間ぐらいということにしてください(笑)。実際には、乗ったときにばーっとやって、乗らないときは寝てる。そんな感じですから。
TARAIさん マシン環境&使用ソフト
CPU:Core i7 2600 、メモリー:8GB
グラフィック:GTX 570(1GB)、OS:Windows 7 Home Premium
ソフト:MMD、PMDエディタ、Metasequoia、AviUtl、GIMP、Vegas Movie Studio、つんでれんこなど
TARAIさん おすすめMMD
【MMD】ルララ♪【PV】
「演出、モーションどこをとっても素晴しいですが、それよりこういうバンドセッションをやれたら楽しんだろうなと。こんな仲間が欲しくなる動画でよく見ています」 |
この連載の記事
-
第3回
トピックス
絶対見るべきMMD傑作選 クオリティーはもうプロ超え!? -
第2回
トピックス
完成度がやばい!初音ミク人気MMDモデル15選 -
第1回
トピックス
3Dアニメに国境なし!世界が注目するMMD、その理由は? - この連載の一覧へ