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痛車でラリー! メロンインテ3年目は頂点への戦い 第7回

痛車が増えた全日本ラリー

メロン号絶体絶命! モントレーラリーで悪夢のクラッシュ

2012年09月03日 19時00分更新

文● 中村信博 ●撮影/中島正義、うえのふみお

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デイポイントを狙う作戦に切り替えたメロン号

 7月29日、デイ2。夜半にまとまった雨が降った渋川だが、日が昇る頃にはすっかり空も晴れ渡って、早朝から真夏の鋭い光がふりそそいでいる。今日も暑くなりそうだ。

 無事に修復を終えたメロン号は、デイ2再出走組として後半スタートに。メカニックの奮闘の結果、メロン号の走行性能は問題ないレベルまで回復している。これなら、無茶さえしなければ2日目のデイポイントを狙うことができるはずだ。

夜が明けたオーバーナイトパルクフェルメ(車両保管)。その端っこに、ひっそりと修復を終えたメロン号がたたずんでいた

パルクフェルメ明け、本日最初で最後のサービス。昨日のうちにきっちり修復したので、ルーティンチェック以外は特にやる事無し。スタート前の様子を、生めろんちゃんこと柳まおちゃんが確かめにやってきた

 一方で、我々が出場しているJN-3クラスは大荒れの状況。ACTIONシビック(上原利宏選手/佐瀬拓野選手組)がSS1にて転倒、久與レビン(山口清司選手/島津雅彦選手組)がオーバーヒート、そしてメロン号に代わってトップに立っていたクスコ86(三好秀昌選手/保井隆宏選手組)がデイ1終盤で駆動系トラブルと、シリーズランカーがことごとくデイ1撤退の憂き目にあっていたのだ。このうちクスコ86だけが、修復が間に合ってデイ2に再出走することになっていた。デイ2トップで得られる3ポイントをめぐる、メロン号vsクスコ86の戦いが幕を開けた!

SS(距離) ステージタイム(トップ差) クラス総合タイム(トップ差)
SS10/Haruna Reverse-II
(9.279km)
7:02.3(TOP)----(----)
SS11/Sibukawa Park Reverse-II
(0.397km)
0:20.7(TOP)----(----)

 こうして始まったデイ2の4本のステージ。メロン号はSS10「Haruna Reverse-II」でベストタイムを獲得し、デイポイントをめぐって争うクスコ86に大差を付けることに成功した。つづくSS11「Shibukawa Park Reverse-II」でもベストタイムを奪取し、クスコ86との差を10.7秒に広げてデイ2後半へと折り返す。残るSSは2本、計7.303kmだから、よほどの事がない限りひっくり返されることはないだろう。

SS(距離) ステージタイム(トップ差) クラス総合タイム(トップ差)
SS12/Akagi-II
(9.279km)
5:41.4(+4.9)----(----)
SS13/Sibukawa Park-III
(0.408km)
0:26.9(+0.1)----(----)

SS12/Akagi-II

眞貝選手「デイ1位で3ポイントを獲得することも重要ですが、前日の出来事を考えると、次戦に向けて漆戸選手とのコンビネーションを習熟させ、お互い安心感を持てるようになることが目標でした。
 さいわい、朝一番のSS10にてデイ2番手に一気に10秒の差をつけることができましたので、この難ステージ「Akagi」ではコンビネーションに集中し、慎重な運転に徹しました。こういうコースは気持ちが少しでも後ろ向きだと、キロ1秒くらいは簡単に動いてしまいますね」

SS13/Shibukawa Park-III

眞貝選手「沢山の観客が集まったギャラリーステージです。 スタート前、優勝をほぼ決めていた青柳選手には“こんなところでドライブシャフト折っちゃだめですよ、2秒落としでもいいんですよ”なんて声を掛けたのですが、3番手を走っていた濱井選手には声を掛け忘れた(笑)
 あと100mというところで、濱井選手はドライブシャフトを折ってしまいリタイヤ。茫然自失状態の濱井選手の横を、私もシャフトを折らないように慎重にクリアしました」

偶然捉えた、濱井インテグラのリタイヤの瞬間!

メロン号のギャラリーステージ走行動画(観客視点)

 ドライブモードに入ったメロン号は、SS12「Akagi-II」でベストタイムを奪われるものの、逆転されるようなタイム差ではない。ラストの観客向けショートステージ「Shibukawa Park-III」をきっちりと走りきり、メロン号は2日目のデイポイント3点をゲットしたのだった。あー、これでデイ1撤退していなければ……!!

めろんちゃんズとともにフィニッシュランプに上ったメロン号。ここで得たのはわずか3ポイントだけど、後でこれが大きく利いてくるはず……!?

ライバルたちも続々とフィニッシュランプへ。イベント中ずっと難しい顔をしていた哀川選手だったが、ここではじめて笑顔が!

 こうして、メロン号はシリーズ累計ポイントを26.5点に伸ばし、何とかJN-3クラスでのシリーズ3番手の順位を確保することができた。シリーズトップのBOOBOWブーン(村田康介選手/平山真理選手組)は、これまでグラベルイベントしか出場していないものの、シリーズポイントは54点とメロン号のずいぶん先を突き進んでいる。この第5戦で優勝できなかったのは本当に痛い。これで、次のイベントを優勝する以外に進むべき道がなくなったわけだ。

各クラスのトップ3。まずJN-4クラスはADVANランサー(奴田原文雄選手/佐藤忠義選手組)が優勝し、2位にLUCKインプレッサ(勝田範彦選手/足立さやか選手組)、3位にMARCHEランサー(石田正史選手/草加浩平選手組)が入った。ところがこのあと、LUCKインプレッサが最終タイムコントロールで早着していたことが判明し、大量のペナルティを受けて降格する事態となる

JN-3クラスは青柳勉選手/箕作裕子選手組インテグラが優勝。2位にBRIGエキシージ(松本琢史選手/三谷良一選手組)、3位にはLUCK86(筒井克彦選手/永山聡一郎選手組)が入った

1500ccマシンが主力のJN-2。優勝は岡田孝一選手/石田裕一選手組デミオ。2位にはランキングトップの川名賢選手/小坂典嵩選手組ヴィッツ、昨年度チャンプのLUCKヴィッツ(天野智之選手/井上裕紀子選手組)は3位表彰台を獲得

小排気量クラスのJN-1では、篠原正行選手/馬瀬耕平選手組ストーリアX4が優勝。2WDストーリアを駆る葛西一省選手/安田弘美選手が2位、開幕戦優勝の小泉茂選手/小泉由起選手組マーチSRが3位という結果に

 そして第6戦「丹後半島ラリー」(8月24~25日)も終了した。3年ぶりに戻ってきた近畿地方でのJRCイベント、その舞台は近畿最北端の町、京都府京丹後市。日本海に突き出た丹後半島を南北に縦断する、丹後縦貫林道というターマックコースが主な舞台となる。かつて筆者もドライバー時代に何度か走った事のあるコースだけど、2車線の幅広い道で走行ラインの自由度が高く、さらに長いストレートと高速コーナーが組み合わされた超ハイスピードコースだったことだけは覚えている。

 2度目のシリーズチャンピオンを目指したメロンブックスラリーチャレンジの戦いは、いよいよ正念場を迎える。次の京都戦を優勝できるか否か、そして9月のJRC最大のイベント「ラリー北海道」において、メロン号はシリーズトップの座に返り咲くことができるのか。全日本ラリー選手権2012年後半戦、JN-3クラスのチャンピオンレースはますます混迷の度合いを深めていくことになるだろう。

MOTVによるモントレーダイジェスト映像

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