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痛車でラリー! メロンインテ3年目は頂点への戦い 第7回

痛車が増えた全日本ラリー

メロン号絶体絶命! モントレーラリーで悪夢のクラッシュ

2012年09月03日 19時00分更新

文● 中村信博 ●撮影/中島正義、うえのふみお

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デイ1の序盤でまさかのコースオフ!
どうなる!? メロン号!

 インカー動画を何度見返しても、正確な原因は今もって謎のままだ。少なくともこの地点においては、コドライバーの漆戸選手の読み上げに何の問題も無い。もちろん、路面が滑りやすかったわけでもないし、FF車特有のアンダーステアが出たわけでもない。ただ、直前までアクセル全開のまま、おそらくは100km/hオーバーのスピードで真っ直ぐにコーナーから飛び出してしまっているのだ。

 考えられる原因としては、このときの眞貝選手は何か別のことを必死で考えていて、漆戸選手の読み上げた情報がまったく耳に入っていなかったのか……こうしてメロン号は、「モントレー2012」デイ1を早々に撤退することになってしまったのだ。

コースアウト地点はメディアポイントの目の前。いつもメロン号の走行写真を撮影してくれる中島カメラマンが決定的瞬間を捉えた。1枚目の写真ではわずかに右に切られていたタイヤが、2枚目(0.12秒後)には直進状態になっており、眞貝選手は一瞬の判断で立ち木への正面衝突を避けたのだ。目撃していた中島カメラマンによると、眞貝選手はギリギリまでマシンをコントロールしていたという

いかに奇跡的なコースオフだったかが判るカット。メロン号は2本の木の間にすっぽりはまり込んでいて、しかも崖の手前に偶然あった土手に前部を乗り上げて止まっていた。ほんの少しでも左右にずれていたら、もしその先に土手が無かったら……と考えると、背筋がぞくりとする

救援車に引き出されたメロン号は、バンパー下部と左側面を破損した以外は、これも奇跡的にフレームそのものには致命的なダメージは無かった。このあとメロン号は自走してサービスパークに戻ってくる

 奇跡的なことに、ハイスピードでコースアウトしたわりにはメロン号の走行能力は生きていた。オフィシャルの救援車に引っ張り出されたメロン号は、損傷箇所をガムテープで補修し、自走してサービスパークまで帰ってきた。コースアウトして土手に乗り上げた際に、下から強烈なアッパーカットを喰らったメロン号のフロントは大きく歪んでいて、これで冷却系が壊れていないことが不思議なほどだ。

補修用ガムテープを貼った痛々しい姿でサービスパークまで戻ってきたメロン号。すぐさまチームスタッフがとりついてダメージを確認する

バンパーを取り外されたメロン号を前から見ると、下から突き上げを食らった第1メンバーが弓なりに反っているのが判る。これではボンネットがきっちりと閉まらないので大変に危険だ

 現在の全日本ラリー選手権のルールでは、デイ1を撤退したマシンは定められた時間までに損傷を修復できれば、翌日のデイ2を出走することができる。イベントポイントは諦めなくてはならないが、もし2日目をトップタイムで走ることができたなら、デイポイントとして3点のボーナスポイントを得ることができるのだ。損傷したメロン号を無事にデイ2へと送り出すため、チームメカニックたちの戦いが始まった!

メロン号の修復開始! あっという間にパーツが取り外されて、さらに詳細にダメージをチェック。フレーム全体が歪むようなダメージの場合、さすがにこの場所では対処のしようが無いからだ

フェンダーとアンダーガードは柔らかい地面の上に置いて、ハンマーと当て板を使って少しずつ形状を叩き出していく。さいわいラジエーターは無事だった

第1メンバーにチェーンをかけ、スライドハンマーで前に引き出していく。上への反りかえりが少しマシになった。あとはボンネットキャッチがガッチリ噛むように細かく調整を加えるのだ

左側面の外装の損傷がひどい。コースアウトの際に左のミラーが飛んでしまったが、これは回収してガムテープで固定。ミラー面にもガムテープが貼ってあるが、これは後ほどクリアテープに貼りかえる。カラーリングが傷ついてしまったが、今は放っておくしかない

無事に修復を終えたメロン号。パッと見るだけでは判らない程度までリペアすることに成功した。このあと技術委員のチェックを受けたメロン号は、デイ2再出走組として車両保管に送り出された

1日目をトップを走っていたクスコ86だが、なんとこちらも本日最終ステージで駆動系トラブルにてデイリタイヤ! 大雨のなか、CUSCO RACINGのテントでは夜遅くまで修復作業が続けられていた

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