使う人を中心に据えたデザイン
プロダクトの企画では“人を中心に据えたい”という思いが強くありました。
例えば、米国で人気の高いブランドに、Beats Audioがありますが、3年間に渡って同じデザイン、同じストーリーを展開しています。あくまでもDr. Dreにフォーカスしたプロダクトです。そのコンセプトをコピーしている競合製品も存在しますが、それでいいのかという疑問もありました。
コアポイントは音には決して妥協しないという点です。Dr. Dreは大変個性的なアーチストですが、Dr. Dreのチューニングが、果たしてほかのアーチストの曲にとっても最上なのでしょうか。誰もがいいと思う音を目指したかったのです。
デザインについてデノンは保守的でしたが、これまでになかった挑戦をしています。URVAN RAVERの「AH-D400EM」で使用したブルーには“デノン・ブルー”というストーリーもあります。ホイール部分に使用した、カーボンファイバー素材はテストしてもらったアーチストのひとり、Armand Penaの意見を参考にしました。
製品開発においては他社の競合製品ではなく、ひとりひとりのユーザーの声を聞くという点を重視しています。マホガニー製のイヤーカップは、使用していくと、落としたり傷つけたりで、チップやスクラッチが目立つようになる。MUSIC MANIACの「AH-D7100EM」は、そうならないようアルミ製のカバーを付けようという話になりましたが、その際にはMacBook Proとフィットするデザインにしようと考えました。DENONロゴの周囲には、ダイヤモンドカットの金属パーツも使用しています。
(市場には個性的なデザインのヘッドフォンも増えていますが)競合製品ではなく、別の工業製品に使われている素材やデザインをモチーフにしています。例えば、AH-D7100EMやAH-D600EMのステッチは、BMWの車内からアイデアを得ています。