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スマホを意識し、使い手を中心とした新たな提案

変わるデノンのヘッドフォン、米国人PMに狙いを聞く

2012年09月04日 20時30分更新

文● 小林 久、写真●神田喜和

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全世界の開発者が集めた情報をNCの改善に応用

 最後のGLOBE CRUISERは、電車や飛行機などで移動するユーザーを想定したもので、ノイズキャンセリング(NC)機能が入っています。この製品でもケーブルもなくし、Bluetooth 3.0でワイヤレス化しています。Bluetooth経由で、より高音質な再生を可能にするために、aptXのロスレス伝送やAACデコーディングといった機能を入れました。

GLOBE CRUISERには2製品3モデルがある

 aptXは高音質で遅延の少ない再生が可能で、Android端末を中心に搭載機種が増えています。

 デノンはノイズキャンセリング技術の歴史も長いですが、今回の製品は過去最高の性能を実現したと自負しています。そのために日米欧にいるプロダクトマネージャが世界中を飛び回って、ノイズのデータを録音し、収集するといった努力をしました。飛行機で言えばボーイング757や787。山手線を始めとした電車など。

 私自身もそうですねぇ……飛行機で1つ、2つ、それにヘリコプター……、合計で20以上の録音データを集めたんじゃないでしょうか。こういった努力が性能に反映されているんですね。

徹底したテストやヒアリングの中から見えてくるものがある

 人間には個人差があるので、誰もが装着しやすいと感じるデザインを作ることは簡単ではありません。例えば、日本で数日前に、首が細く少しアゴの張った人がヘッドフォンを着けている姿を見かけました。

 アゴの裏側のくぼみが大きいせいか、イヤーカップで耳をうまく覆えていなかったんですね。これでは周囲の音をうまく遮断できず、いい音質が得られません。

イヤーカップの形状にはこだわった。耳の形にフィットする五角形のデザインや、球体間接で自由に稼働する機構などには注目

 そこで360度自由に動くイヤーカップや、人間の耳に近い形状のイヤーパッドを作るといった工夫が生まれました。単純なオーバル(楕円形)にすれば作りやすさは増すのですが、人間の耳はもっと複雑な形です。アクセスポイントが5つあるということでペンタゴン(五角形)にしました。耳の周囲にデッドスペースが少なくより高いフィット感が得られると思います。

 これらはすべてデザイナーと技術者のコラボレーションで生まれたものです。五角形という形状は技術サイドから問題提起があったものですが、ブレインストーミングやテスターの意見を吟味する中で、コンセプトが少しずつ固まっていきました。

 (EXERCISE FREAKに属する)AH-W150の開発にも100人のテスターが参加しています。1分間走り、ベンチプレスとセットアップをそれぞれ5回……といったぐあいに実際に装着しながら、体を動かした結果をレーティング(評価)してもらっています。

 製品のデザインは社外の米国人デザイナーが手掛けたものですが、日本のエンジニアやプロダクトマネージャーと行動をともにしながら、一体となって開発を進めています。私自身も昨年の5月から8月までの約90日間、日本に滞在し、議論を重ねました。

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