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Apple vs. Samsungの特許侵害裁判が決着

Appleが特許裁判完全勝利、日本での判決も各国に波及か

2012年08月27日 22時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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韓国では、デザイン特許が認められずApple敗訴に近い判決

 同件の裁判は世界中で行なわれていると説明したが、今回の判決に先立つ半日前、8月24日(韓国時間)に韓国ソウルの裁判所でAppleとSamsungの特許侵害裁判の判決が言い渡され、AppleがSamsungの特許2件を侵害、一方のSamsungがAppleの特許1件を侵害を認定という、どちらかといえばSamsung有利の判決が出されている。

 賠償金額自体は米国のケースの2000分の1以下でたいした問題ではないが、Apple敗訴に近い判決が出た初のケースであり、注目を集めた。ここでのポイントは、米国で認められたような「デザイン特許の侵害」はいっさい認められず、逆にSamsungの主張するデータのやり取りに関する特許侵害が認められるなど、非常に対照的なものとなっている。

 また、SamsungによるApple製品の同国での販売差し止め請求も可能になっており、特に裁判の争点となった旧モデルの販売が停止される恐れがある。

 Wall Street Journalの現地レポートによれば、こうした国内のSamsung有利な判決があった一方で、Samsung全面敗訴となった米国での裁判の結果にはネガティブな印象を持つ韓国市民が多いようで、GDPで15%を占める韓国を代表する大企業がダメージを被ることで、結果的に国全体の経済への波及を恐れているとされる。

 また「Samsungが製品を模倣したとは思わない」「Apple製品へのネガティブな印象が強くなる」「Appleが有利なホームグラウンドで負けただけ」と自国メーカーを擁護する声が多数紹介されており、Appleならびに米国への反感を強めているという印象も受ける。

Apple全面勝訴後、初の海外判決の舞台となる日本

 韓国において、判決の評価を複雑にしている一因は、米国裁判での判事を務めたLucy Koh氏が韓国系米国人であり、一連の裁判の中で米国側に軍配を挙げたこともあるのかもしれない。また、今週末には日本で行なわれている両社の裁判の判決が出る見込みで、こちらも注目を集めることになる。米国におけるApple全面勝訴の結果を受けた初の海外認定裁判で、この結果が残り各国での判決に影響を及ぼしていくとみられるからだ。

 判決の直近の影響としては、販売差し止め請求による現地での販売現場の混乱だが、対象製品に最新のものが含まれていないため、直接的な影響は比較的軽微にとどまるとみられる。一方で今後のSamsungや、Androidを擁する他メーカーらの間での製品戦略に大きな影響を与えるだろう。少なくとも、iPhoneの類似製品のリリースが今後難しくなるからだ。

 IDCのレポートによれば、2012年第2四半期時点の世界のスマートフォン市場でのシェアはSamsungが32.6%でトップ、次いでAppleの16.9%となっている。OSプラットフォームで比較すると、iOSが16.9%に対し、Androidでは68.1%と4倍以上の差があり、これは年々さらに開いている。Appleの勝利により、拡大しつつあるAndroidに一定のブレーキをかける効果があるだろう。

 金銭的な面でいえば、Samsungへの直接的な影響は少ない。同社の2012年の利益は180億ドル(約1兆4165億万円)で、6月末時点でのキャッシュ資産も210億ドル(約1兆6526億円)に上る。10億ドル(約786億円)の賠償金を払うことはそれほど大きな影響にはならない。だが、今後のライセンス支払いや各国での賠償費用の積み上げ、そしてコピー認定されたことによるイメージ失墜で、スマートフォン事業で従来の勢いを維持することは難しそうだ。



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