インテルの発表会と同日に製品を投入したデルを皮切りに、各サーバーベンダーが次々とXeon E5プロセッサー搭載サーバーを投入している。今回、サーバー新製品のテーマは、ここ数年の仮想化対応や省電力化という流れから、運用負荷の軽減へと移りつつある。
ハードウェアで運用の省力化
3月から4月にかけて、発表されたばかりのXeon E5プロセッサーを搭載した新サーバーの投入が相次いだ。3月7日、インテルと同会場で発表会を行なったデルが、いの一番に第12世代となる新サーバーを発表。データセンター向けのモジュール型やラックマウント型、タワー型サーバーまで一挙6機種を投入し、即日出荷を開始した。
また、3月30日には日本ヒューレット・パッカードが自働サーバーを謳う「HP ProLiant Gen8」 を投入。4月中旬には、Gen8の持つリモートサポートやオンラインポータルなどの機能を活用したサービスプログラムも発表した。その他、富士通やNEC、IBM、日立製作所も新製品を次々と投入し、春を迎えたx86サーバー市場はまさに花盛りとなった。
近年、サーバーのトレンドは仮想化対応の強化や省電力化、集積密度の向上がメインであった。まず具体的な仮想化対応としては、搭載メモリ容量の拡張やハイパーバイザーと連携したI/Oの最適化などが挙げられる。また、省電力化に関しては、電源や部品のレベルはもちろん、動作温度の見直し、冷却効率を最大化する筐体設計などが進められた。さらに、集積密度の向上は、HDDの2.5インチ化やサーバー自体のモジュラー化などになる。
これに対して、各社が特にフォーカスしているのは、運用負荷の軽減である。ご存じの通り、企業のIT予算の8割近くは運用に費やされ、新規投資に回らないという動向がある。日本は特にこの傾向が強く、欧米に比べて1割近く運用コストの占める割合が高いとも言われる。運用管理の軽減は、サーバー含めITベンダーの永遠のテーマだが、ソフトウェアだけではなく、サーバー自体に運用管理の省力化を盛り込んでいくというのは新しい方向性だ。HPやNECをはじめとし、サービスモジュールに運用管理技術を組み込み、サービスやクラウドと連携させていくという方向性は、今後多くのベンダーが強化していくポイントといえる。
最新サーバーは実機を見てもらいたい
担当は発表会で実機を見る機会も多いのだが、最新のサーバーは素直にすごいなと感心する。まずは実装密度がすごい。内部を開けば、巨大なヒートシンクに覆われたCPUのまわりに、メモリのスロットが林立。そのしわ寄せを吸収すべく、電源やファンなどはかなり小型化されている印象だ。なにより、最新のラックマウントサーバーでは、ノートPC向けだと思われていた2.5インチのHDDが前面にずらりと並んでいる。けっこう驚くポイントだ。
スペックを見れば、高速CPUに見合ったSSDやギガビットクラスの高速インターフェイスを満載しており、性能バランスもよさそう。しかも、省エネを意識した工夫が至る所に施されている。省エネに関しては、国産だけではなく、外資系の製品も同じレベルに達しているといえる。
また、メンテナンス性が高いのも大きな特徴。工具なしで、フタを簡単に開け閉めできるし、ガイダンスが筐体裏にきちんと貼付されているので、迷わない。たとえば、日立製作所の「BS500」は手のひらサイズのLCDコンソールを使えるし、デルの12世代PowerEdgeはサーバーに貼り付けられたQRコードにスマホをかざせばメンテナンス情報を確認できる。現場のエンジニアの声をきちんと吸い上げて作ったことが見て取れる。
とかくサーバーはすでにケーブルやラックと同じ部材扱いされることも多いが、導入検討の際は、ぜひ実機を見てもらいたい。ものづくりの妙に感心することしきりだ。
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