自分本位にならず、《わかりやすい》報告を
実際に上司は私の営業場面に同席したわけではありません。それでも十分に状況を把握して的確なアドバイスがもらえるためには《わかりやすい》報告・相談でなければなりません。仕事コミュニケーションの基本は、わかりやすいことです。これはどんな場面の対話でも必要なことではないでしょうか?
ただし、わかりやすく対話することは意外と難しいものがあります。どうしても自分本位になってしまうからです。
例えば、
「今日の午後にお邪魔した会社でいい話がありました。聞いてください。うちの新商品を前向きに検討したいといってくれたのです。絶対に仕事を取りたいので営業同行していただけますか?」
こうした報告は大変わかりづらいものがあります。上司に同行を頼んでいることはわかりますが、上司にしてみれば、
- はたしてどんな会社なのか?
- 何故、当社の新商品を検討したいのか?
- そもそも会った相手は誰なのか?
状況を何も把握できません。もちろん、部下の頼みですから同行はするでしょうが事前準備するためには聞きたいことだらけの相談です。せめて、
「今日の午後に訪問した○○商事に次回は同行をお願いしたいと考えています。部品商社で売上げが150億、利益は2億で、ここ数年は業績が低迷しています。ただ、来年春に新たな物流センターをつくるので当社の新商品に関心を示していただけたようです」
これくらいは相談に際して伝えたいものです。会社の状況がわかれば、
「同行は了解だ。ただ、業績が低迷しているなら新商品にこらわらずに型落ちの商品を安く提案した方が喜ばれるかもしれないから、在庫があるか確認してくれないか?」
と、上司の経験を活かして的確なアドバイスができる可能性が高まります。
このように穴だらけの相談を周囲と上司や同僚との間でOJTを繰り返して鍛える機会を増やすことが、あなたの仕事コミュニケーションを磨く近道です。冒頭にも書いたわかりやすくの趣旨を忘れず意識して対話を繰り返して、
どうすれば理解度が高まるか
を考えて実践していけば、間違いなく相手に伝わるようになるでしょう。
※メルマガでは、高城氏自身の経験を掘り下げより具体的なケースとして詳述。メルマガのvol.032をチェック!
【筆者プロフィール】 高城 幸司
1987年同志社大学文学部卒、同年、株式会社リクルート入社。社内の売り上げ記録を数々打ち立て、6年連続トップセールスに輝く「伝説の営業マン」新規事業を数多く立ち上げ、営業現場で活躍。起業・独立情報誌「アントレ」を創刊。編集長も務める。2005年にリクルート社を卒業。現在は人と組織のサポートを年間100社以上実践している。著書は50冊以上。「営業マンは心理学者」「トップセールスのフレームワーク」など多数。 「ビジスパ」にてメルマガ「トップ営業の『稼ぐ』発想法」を執筆中。
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