Microsoftが中国市場でのWindows Phoneのプッシュを開始した。3月には、HTCとNokiaの2社が中国市場向けのWindows Phone端末を発表しており、今後他のベンダーからも登場予定だ。年内にもアメリカを追い越して世界最大のスマートフォン市場になると予想される中国。先進国のようにiPhoneとAndroid優位となるのか、Nokiaのブランド力によりWindows Phoneが存在感を示すことになるか。
中国市場に本格進出するMicrosoft
頼みは中国でも人気のNokiaブランド
3月21日、MicrosoftはWindows Phoneの中国進出を正式に発表した。Windows Phoneはこれまで欧州、アメリカなど主に先進国市場で展開してきた。だが、iPhoneとAndroidの浸透は中国でもはじまっており、人口や経済成長などその潜在性からもWindows Phoneにとって無視できない市場であることは間違いない。
同日に発表された中国向けWindows Phone第1号はHTCの「HTC Eternity」だ。HTCが「Titan」として展開している機種をベースとし、中国語対応、現地アプリのサポートなどを特徴とする。
その1週間後となる28日には、Nokiaが「Nokia 800C」を発表した。「Nokia Lumia 800」をChina TelecomのCDMAネットワークに対応させたWindows Phoneとなる。Nokia CEOのStephen Elop氏みずからが中国の発表会に参加するという力の入れようで、中国市場に対するNokiaの力の入れようが伺える。
Nokiaは、2月に発表したエントリーモデル「Lumia 610」も、610Cとして6月までに発売する計画を明かしている。そのほかのLumiaシリーズも投入し、オペレーターもChina Telecomだけでなく、China Mobile、China Unicom向けにも提供するとしている。言葉通りであれば、NokiaのWindows Phoneは3大オペレーターが取り扱うことになりそうだ。
Microsoftは「Nokiaやその他のベンダーから、中国向けのWindows Phoneが発表される」と述べていることから、今後も他のベンダーが中国市場に向けてWindows Phoneを発表すると予想される。まず浮かぶのは、Windows Phoneを強化すると強調しているZTEだ。さらには、Windows Phoneをラインナップに(一応)揃えるSamsungやLGも可能性がありそうだ。Huawei Technologiesも、長期的にはWindows Phoneを提供するという可能性を否定していない。
だが当面の間、Windows Phone中国戦略において頼みの綱となるのはNokiaだろう。Nokiaにとって中国は最大市場であり、中国でNokiaは一大ブランドだ。しかし、不安材料もある。まずはNokiaの状況だ。これまで中国で高いシェアを持ってきたNokiaだが、このところ世界市場と同様に苦戦している。Gartnerの調査では2011年第4四半期にSamsungが中国市場でもNokiaを超えたと報告している。
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