デザインからセンサーまで含めたユーザーインターフェースの向上
―― ものすごく分かりやすいですもんね、見た目も。
斉田 キャッチーに見えるようにマニアックなことをしたんです。あとNAMMショーでは、デモンストレーターが4日間ずっと同じ人だったんですけど、ずっと立ってて疲れない? って言ったら指が絆創膏だらけで。タッチパッドをずっとこすり続けるじゃないですか。
坂巻 そんなに強くこすらなくても大丈夫なように作ったのに。これもiPhoneなんかと同じ静電容量式に変えたんですよ。それで前のKAOSSILATORよりタッチが軽くなってるんです。
―― 前のタッチパッドは何だったんですか?
坂巻 抵抗膜ですね※。だからある程度力を入れて押し込まないと鳴らなかった。右から左に動かすとドラムの音が変わりますよ、という時に途中で音が途切れちゃったり。子供や女性が触って鳴らない時があったんですよ。それで誰でも触れるように。
※ 抵抗膜と静電容量:抵抗膜方式はガラスとフィルムのあいだに薄い膜を張ったもので、ペンでもタッチ操作できる。静電容量方式は電圧をかけたセンサーを上下左右の隅に置いたもので、ごくわずかなタッチにも反応する
―― 見た目もスポーツウォッチのSuunto※みたいで楽器っぽくないですよね。
坂巻 センスのいい測定器ってあるじゃないですか。ストップウォッチとか。ああいう感じが欲しかったんです。携帯っぽくもしたくないし、あまり楽器っぽくもしたくなかった。形を作る人にも無茶言ったんですよね。この色全然ダメだとか。なかなかこの色が出なかったんです。めちゃくちゃ一生懸命やってくれたんですけど。
※ Suunto : SUUNTO社のアウトドアウォッチ。頑丈でアスリートが身につけるスポーツウォッチとしても有名。最新作は「スントVector」
―― 筐体が小型化したこともあるんですけど、背面の曲面が絶妙で、手に持って操作しやすい。
坂巻 そもそも前のは持つことを想定していなかったんですよね。置いて使うのが基本だったので、幅も大きくて。その辺は、前のがどんな風に使われているかを考えた上で、リデザインした結果ですね。
―― 新しく横に長いタッチパッドが増えたんですが、これは何をするものですか?
坂巻 パラメーターの変更とかクロスフェードですね。
―― 呼び名、なんて言うんですか?
斉田 「VALUEスライダー」ですね。
坂巻 ですね。
―― 前は弾きながらパラメーターを変えるのも大変でしたけど。
坂巻 ユーザーインターフェースは頑張りましたね。今回良いのが、パッドを押さえるとディスプレイにノートが出ることなです。
―― 鳴っている音名が表示されると。鍵盤の絵が表示されて、キーとスケールの関係も分かりやすい。
坂巻 それとですね、筐体に合わせてパッドの面積も小さくなったんですが、反応する範囲の面積は前のと変わっていないんです。
―― ん? というのはどういうことですか?
坂巻 前のは不感帯が広かったんです。外周部に指1本分くらいの反応しない部分があった。パッドの見た目で幅を等間隔に割っていくと、実際に鳴るグリッドと一致しない。
―― 不感帯の部分を何かで覆うことで解決しないんですか?
坂巻 抵抗膜の周囲をプラスチックの枠で押さえてあるんですけど、押さえている部分がオンになっちゃうんですね。どうしても外周にはマージンがいるんですよ。
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