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マイクロサーバーの始祖がデータセンターをまた革新

Xeon搭載で妥協なし!SeaMicro「SM10000-XE」登場の背景

2012年02月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月14日、ネットワンシステムズは、米シーマイクロ(以下、SeaMicro)の省エネ・高密度サーバー「SM10000-XE」を発表した。Atomプロセッサーにかわり、いよいよXeonプロセッサーを搭載した新製品開発の背景についてSeaMicro ヴァイスプレジデントのアニール・ラオ氏に聞いた。

他社が追従できないSeaMicroの価値

 SeaMicroは、低消費電力を極限まで追求した高密度サーバーを開発・販売するベンチャー。2010年に10UのラックユニットにAtomプロセッサー512個を搭載する「SM10000」を発表し、業界に大きなインパクトを与えた。「インテルが『マイクロサーバー』と呼ばれるジャンルを作る以前から、製品を投入していた」(ラオ氏)。日本では、ネットワンシステムズが販売代理店を務めており、ISPやデータセンターなどをターゲットに販売を進めてきた。

SeaMicro ヴァイスプレジデント プロダクトマネージメント&マーケティング担当バイスプレジデント兼ファウンダー アニール・ラオ氏

 SM10000が市場に投入され、すでに2年近い月日が経つが、競合製品が登場していないのは、技術的に追いつくのが難しいからだ。SeaMicroのサーバーでは、I/O仮想化技術により、マザーボード上の構成要素をASICに統合し、部品点数を90%も削減している。そしてCPU、メモリ、ASICのみを搭載した名刺サイズのマザーボードに、サーバー自体をまるごと集約した。また、独自のTIO技術により、使用していないCPUとチップセットの機能を止めてしまう。こうした技術により、「(既存のラックマウントサーバーに比べ)消費電力を1/4に、スペースを1/6にまで削減できるので、データセンターのコスト構造を大きく変革することが可能だ」(ラオ氏)と、徹底した消費電力の削減と高密度実装を進めてきた。

 ただ、ここまでであれば、小型化や高密度実装を追求する他社のモジュール型サーバーも近い構造になるのだが、SeaMicroはこれらのマイクロサーバーを独自ASICで相互接続している。つまり、ASICがサーバーを振り分けるロードバランサーやスイッチの役割を担うことになるわけだ。そして、この高速・低遅延なファブリックとして統合されたCPUプールをアプリケーションの負荷に合わせて動的に割り当てることができる。ここにSeaMicroサーバーの最大の特徴がある。2010年の発表会レポートで「Atomスパコン」と称したのも、汎用の大型計算機としてSM10000が利用できるからにほかならない。

Atomプロセッサー512基を搭載する初代「SM10000」

 こうしたSM10000は、大量のアクセスが集中するWebのフロント処理などスケールアウト用途に最適だという。ラオ氏は事例として、FireFoxを展開するMozilla Foundationを挙げた。FireFoxをアップデートする際、数多くのユーザーのバージョンやアドイン、パッチなどを管理しなければならないが、Mozilla Foundationはこれらのバックエンド処理にSeaMicroを使っているという。また、全米の結婚の4%を占めるというマッチングサイトのeHarmonyもSeaMicroの恩恵を受けており、「登録したユーザー同士の条件をマッチングさせる高度な分散処理を、HadoopとSeaMicroで行なっている」(ラオ氏)という。ビッグデータ系の用途にもマッチするサーバーというわけだ。

64個のXeonを10Uラックマウント筐体に凝縮

 今回発表されたSM10000-XEは、64個のソケットにクアッドコアXeonプロセッサー(超低消費電力のXeon E3-1260L)を搭載した新モデル。SM10000の投入以来、64ビット対応Atomを搭載したモデルは発表していたが、Xeonプロセッサーの採用は同社では初めてとなる。最小構成価格は1900万円~(税込)。

 SM10000-XEでは10Uのラックユニットに256ものCPUコア、DRAMも最大2TBまで搭載できるようになった。これにより、32台の1Uサーバー、スイッチ、ロードバランサーなどが搭載された2棟のラックを、10Uのラックユニットに収納できるという。電力消費は3.5KWで、既存のサーバーに比べ約1/2。実装密度も3倍となる。

Xeon搭載の新製品「SM10000-XE」の概要

 注目したいのは、Xeonを積んだからといって、アーキテクチャを変更していない点だ。もとよりSeaMicroのSM10000シリーズは、CPUを問わず、低消費電力化できるのが特徴。「消費電力の小さい第2世代チップセットを採用しているものの、既存のアーキテクチャには一切手を入れてない」(ラオ氏)ため、SM10000の特徴はすべて継承するという。一方、苦労した点は「マイクロサーバーの価値を認めてもらうべく、インテルや部品供給ベンダーのマインドセットを変えてもらうこと」(ラオ氏)だったという。現在ではインテルも超消費電力Xeonを前提とした省エネ・高密度なマイクロサーバーというジャンルの開発に力を入れているが、当初Atomプロセッサーのサーバー搭載を必ずしも喜ばなかったためだ。

Xeon搭載のSM10000-XEのマザーボード

 従来のAtomベースのSM10000シリーズは、Webのフロント用途がメインだったが、高速なXeonが搭載されたことで、「アプリケーションやデータベースなどのヘビーな用途でも、十分効果を発揮できるようになる」(ラオ氏)という。実際、今までAtomプロセッサーに抵抗感を持っていたユーザーも、Xeon搭載によって処理能力の不安を感じることが少なくなると見込んでいる。先に発表された米国での反響は高く、すでに導入プロジェクトがスタートしているところもあるとのこと。「今後も、サーバーの高密度実装や省エネのNo.1を目指す」(ラオ氏)ということで、イノベーションを加速させる。

 国内展開するネットワンシステムズでは、Cisco UCSシリーズをプライベートクラウド基盤向け、SeaMicroを大規模なアプリケーションサービス基盤向けの製品と位置づけ、データセンターを運営する事業者や企業、組織などをターゲットに国内での販売を進めていくという。

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