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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第81回

新ポメラ DM100は「モバイル機器の聖杯」になったか?

2011年11月24日 06時00分更新

文● 西田 宗千佳

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なじみやすいサイズと配列のキーボード
タイプ感はやや気になる点も

 他方で、モバイルノートに似た形状となったことで、ディスプレー部とキーボード部のバランスは微妙なものになった。机の上でもちょっとした衝撃がかかると、ディスプレー部の側(すなわち後ろ)に本体が倒れる。膝の上のような不安定な場所ではなおさらだ。

 このバランスの悪さは、ボディーを軽くしたことの副作用だろう。あまりにキーボード部が軽すぎるのだ。我慢できないほど倒れやすいわけではないし、重くなるくらいならこのままの方がいい。そもそも旧ポメラでも、膝の上では打ちづらかった。だから「膝上でも使えるようになった」分だけプラスではある。

 キーはパーツが大きく変わったので、当然打ち心地も変わっている。旧ポメラがLet'snote的な打ち心地だったとすれば、アイソレーションかつフラットなキーになったDM100は、形状同様にVAIO P的になったような印象がある。サイズ・配列ともに窮屈なところはなく、誰もがすんなりとなじめるだろう。ここは高く評価したい。

 だが残念ながら、打ち心地はVAIO Pの方がいい。形状から考えれば仕方ないことだが、底打ち感が強くてペタペタした印象だ。たわみも若干感じる。それより気になるのは、タイプ音が大きく感じることだろう。元々筆者はタイプ音が大きめで、周囲に迷惑をかけやすい。そんな筆者が使うと、場所によってはちょっと気がひけるほど響く。このタイプ感はパソコンと言うよりは、むしろ最近増えてきたスマートフォン対応のBluetoothキーボードに近い。

 ディスプレーは従来のVGAサイズ/モノクロ反射型から、SVGA/グレースケール透過型に変わった。バックライトも搭載されている。その結果、画面表示文字数を増やしたり、より見やすい文字で表示したりと、自由度はかなり上がった。グレースケールとは言うが、実際には「青白液晶」と言った方が正しい。この点を気にする向きもありそうだが、見やすさは良好だ。「白・黒」から「白・濃紺」に変わった感じ、といえばいいだろうか。

解像度が上がったモノクロ液晶ディスプレー。グレースケール表示になったが、黒い部分はやや青みがかっている

高解像度化とグレースケール化により、文字サイズのバリエーションも増えた

 バックライトは、単純に最高輝度にするとまぶしすぎるが、好みの輝度を見つければ、ほとんどの人が満足いくクオリティーになる。旧ポメラはモノクロ反射型であるがゆえの良さがあったものの、他方で暗い部屋(例えばプレゼン中や飛行機の中など)では使えない、という欠点があった。バックライトキーボードではないので限界はあるが、ディスプレーバックライトの採用により、暗いところでの利用も不可能ではなくなっている。ディスプレーの変更については、素直にプラスに捉えていい。

BluetoothはAndroid向け!?
SDカード採用がプラスに

 機能面に目を向けてみよう。DM100でもっとも大きな機能的変化は、「Bluetoothの採用」だ。旧ポメラの限界は、シンプルな機器であるがゆえの「連携」の難しさだった。書き上げたファイルは、micro SDメモリーカードかUSB経由でパソコンに受け渡すのが基本。QRコードによる転送もできたが、200文字ずつ分割して受け渡すことになるので「緊急避難」的な位置づけといえる。

 だが、DM100ではBluetoothが採用された。これでパソコンやスマートフォンとの連携もバッチリ……と言いたいところだが、結論からいうと「そこまででもない」と感じる。

 DM100におけるBluetoothは、DM100をBluetoothの外付けキーボードにする「HIDプロファイル」と、DM100と対応機器の間でファイルを受け渡す「FTPプロファイル」に対応している。逆に言えば、これらのプロファイルに対応していない機器とは連携できない。この機能はメニューからも呼び出せるほか、ディスプレー横に用意された専用キーからもワンタッチで呼び出せる。

Bluetooth機能の選択画面。HIDキーボードとして使うか、FTPプロファイルでファイル転送のいずれかを選択する

 機能呼び出し時に、どちらの機能を使うかを選ぶ。Bluetooth系機能を利用している時は、文章の入力と保存などDM100側の機能は使えない。位置づけを考えると、この機能でガンガン文字を打つというよりも、携帯機器でメールなどを入力する時のための予備的なものだろう。

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