CPU黒歴史AMD編の第5弾は、残念(?)ながら一部の方が期待しているらしい「Bulldozer」ではない。Bulldozerはまだ最新の現行製品であり、「歴史から消し去られた」という意味での黒歴史からは、はるかに遠いところにある。Bulldozerはまだ黒歴史入りはしていない。
今回はAMDがかつて販売していた「Elan」と、National Semiconductor社(以下NS社)から事業部ごと買収した「Geode」の話である。
小さく低消費電力
優秀なワンチップCPU Elan SC300
まずはAMD Elanから始めよう。正式な名称は「Élan」だが、日本AMDの昔のプレスリリースでも「Elan」と表記しているので、本稿はこのままElanで通す。
Elanの話はかつて、連載63回でも触れている。組み込み向けのワンチップCPU(今風に言えばSoC)であった。ベースとなるCPUは「Am386SX」で、これに周辺コアを統合したのが「Elan SC300」。これから液晶ディスプレーコントローラーとPCMCIAインターフェースを省いたものが「SC310」である。
登場時期は1996~1997年だから、まだISAバスが全盛の頃だ。外部になにかしらの周辺回路を接続する場合はISAバスが使えるし、もっと高速なバスが必要な場合は(ほぼVL-Busに近い仕様の)独自ローカルバスで接続できた。一般的なPC向けではこうした独自規格は嫌がられる。一方組み込み向けであれば、仕様さえきちんと開示されていれば、こうしたローカルバスはむしろ性能を確保しやすい観点から好ましいとも言える。
SC300は完全ワンチップながら、パッケージは28mm角の208pin QFP(Quad Flat Pack)という小さなものだった、33MHz動作時の消費電力は、CPUコアのみならずメモリーコントローラーやバス、周辺回路など全部込みで660mW。サスペンド時は0.17mWと非常に低く、ちょっとしたコントローラーを作るのに十分であった。
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