機能面で優れていたGeodeシリーズ
AMDはNS社が販売していたGeode GX/Geode GXmに加えて、開発途中だった「Geode GX2」も引継いで製品化する。さらに、これをベースに2005年には、「Geode LX800」を発表する。プロセスの微細化や大容量2次キャッシュ搭載にとどまらず、細かな改良や機能追加が行なわれた。当時の説明によれば、Geode GX533と比較して2倍の整数演算性能を持ちながら、500MHzでの消費電力はわずか0.9Wに抑えられていた。
Geode LX800でも、あいかわらずコンパニオンチップとしてCS5536を必要とする2チップ構成であったが、こちらはUSB 2.0とかATA/66といった当時最新の規格に準拠していたので、これにより大きくシェアが取れると期待したようだ。特にGeode LXは、当時AMDが提唱していた「50×15イニシアチブ」※1に使うことを前提としており、これに向けた試作機も公開された。このあたりまではまあまあ順調であった。
※1 2015年までに世界人口の50%にインターネットアクセス可能なPCを行き渡らせようという提案。
AMDの組み込み分野への無理解で
黒歴史へと転落したElanとGeode
こうした動きが一転するのは、2006年7月にAMDがATIを買収してからだ。この買収の直前に、AMDはコロラド州ロングモントにあった、Geodeの開発部隊がいたオフィスを閉鎖した。その前にはAlchemyの製品と事業、および開発部隊をまるごとRaza Microelectronics社(後のRMI、現在はブロードコムの一部門)に売却しており、Geodeのオフィスの売却で、事実上組み込み向けのリソースをほぼ捨てたことになる。その結果、Geode GXやGeode LXはほどなくEOLとなり、K7ベースの「Geode NX」は多少生き延びたものの、こちらも最終的にはEOLになってしまった。
AMDの言い分を書いておくと、まずGeode GX/LXに関しては、「顧客が思ったほどつかなかった」のが最大の理由である。特にGeode LXは、ASUSTeK Computerの「Eee PC」への採用競争でインテルのAtomに敗れた。また50×15絡みで「OLPC XO-1」には採用されたものの、肝心のXO-1が立ち上げに失敗したこともあり、結局思ったほどのターゲットを取れなかった、といった事情があった。
一方のGeode NXは、中身は「モバイルAthlon XP」だからテクニカルサポートには問題はなかった。だが、生産がFab30の130nmバルクプロセスだったにも関わらず、Fab30は130nm SOIから90nm SOIにプロセスを入れ替えつつある状況だった。つまり古い130nmバルクの製造ラインを、いつまでも残しておけなかったという理由があった。
しかしこうした動きは、顧客からすれば「またAMDがやりやがったか」という話になる。これにより、AMD編黒歴史の1本目「Am29000」のことに目をつぶってAMD製品を採用していたベンダーの大半に、嫌われることになってしまった。
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