このページの本文へ

災害と停電を乗り越えるためのホスティング活用術 ― 第5回

米ジョイエントとの提携で「大スマートフォン時代のクラウド」を提供

Node.js総本山と組んだファーストサーバ「Z Cloud」の衝撃

2011年10月26日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

10月25日、レンタルサーバー事業者のファーストサーバはパブリッククラウド事業者の米ジョイエントと提携し、IaaS「Z Cloud」とPaaS「Node Ninja」を発表した。Web開発言語「Node.js」の開発元として知られるジョイエントとの提携で、本格的なクラウド事業に乗り出すことになる。

大スマートフォン時代のクラウドは「汎用」でいいのか?

 米ジョイエントは、2004年からパブリッククラウドを展開する事業者で、次世代のWeb言語として高い注目を集めているNode.jsの開発元としても知られている。現在、Amazonにつぐ規模のパブリッククラウドを展開しており、このインフラを構築・管理するため、「SmartDataCenter」やそのコアとなる「SmartOS」などのソフトウェアを自社開発しているという。総じて、技術志向の非常に強い会社といえるだろう。また、インテルの出資を受けているほか、取締役などでもインテル系の人脈が多いのが特徴だ。

 今回、ファーストサーバはこの米ジョイエントと提携し、世界最速を謳うクラウドサービス「Z Cloud」、そしてNode.jsをベースにしたPaaS「Node Ninja」を発表した。発表会においてファーストサーバ代表取締役の磯部眞人氏は、「すでに『大スマートフォン時代』が来ており、セッションが爆発的に増え、HTML5やリアルタイムなWebSocketが台頭してくる。われわれもクラウドについていろいろ考えてきたが、こういう状況になると汎用のクラウドで大丈夫かという不安があった。こうした課題に対するファーストサーバの戦略が、今回提携したジョイエントの方向性にあっていた」と、スマートフォン対応やリアルタイムWebの普及を見越した提携であると説明した。

ファーストサーバ代表取締役の磯部眞人氏

Amazon EC2より圧倒的に速い!Z CloudはI/Oが命

 Z Cloudのインフラには、オペレータがオペレータのために作ったマルチテナント型のクラウド管理システムであるジョイエントのSmartDataCenterを採用する。SmartDataCenterは、瞬間的なアクセス増加時に普段に比べて数倍のCPUリソースを自動的に割り当てたり、高速なZFSファイルシステムの採用により、「Amazon EC2に比べてCPUで5倍、メモリI/Oで3倍、ディスクI/Oで14倍速い」という高いパフォーマンスを売りにしている。

高速で監視の充実したZ Cloudの特徴ジョイエントとAmazonの比較

 磯部氏は、「基本はメモリにユーザーのアプリケーションを渡すという割り切りをやっているので、I/Oのボトルネックがない」とジョイエントの技術をこう評価。後半に講演したジョイエントの創業者・CTOのジェイソン・ホフマン氏は、「メモリやディスクI/Oの遅延を管理し、スケジューリングできる。ネットワーク上のパケットのように扱える」と説明した。

ジョイエントの創業者・CTOのジェイソン・ホフマン氏

 また、Z Cloudでは、CPUの稼働率やアプリケーションプロセスまでリアルタイムに表示できる内部監視エンジンの「DTrace」に加え、ファーストサーバ独自開発の「Giraffi」という外部監視エンジンでSmartDataCenterのインフラを監視し、詳細にサーバーの状態を把握することが可能。さらに運用管理のオートメーション化を実現するRESTfulなAPIも公開しており、オートスケールなどに活用できる。なお、ハードウェアはデルのPowerEdgeサーバーが採用されているとのこと。

 Z CloudではCPUバースト対応のSmartOSと汎用性の高いCentOSの2種類のOSが8.1円(1コア・1時間あたり)から提供される。メモリは最大8GB、ディスクは最大240GBで、アカウント単位でのネットワーク転送料は月間20TBまで無料となるという。

 もう一方のNode Ninjaは、サーバーサイドで動作するJavaScriptプラットフォームであるNode.jsで稼働するPaaS(Platform as a Service)。高いパフォーマンスを実現するZ Cloud上で提供され、リアルタイムWebに最適なWebSocketに対応するほか、ソースコードのソーシャル化を実現するGitHubの連携も可能だという。10月29日に開催されるNode.jsイベント「東京NODE学園祭」でクローズドβ版が無償提供され、2012年の1月には一般向けのオープンβ版が提供される予定となっている。磯部氏は「インフラではなく、アプリケーションに特化した技術者によって開発されている。開発者にとっては、のどから手が出るような環境を用意している」と話す。

日本初のNode.js対応のPaaS「Node Ninja」

 ジョイエントは、ファーストサーバのほか、台湾、香港・中国、イタリア、カナダ、トルコなどのSIerやサービスプロバイダーにSmartDataCenterを提供しているが、ホフマン氏は「やはりエンドツーエンドでデータセンターを設計できるところが、提携の大きな鍵」となるという。磯部氏は、「クラウドはあくまでグローバルのツールである。手前で勝手にできるのはAmazonだけ」と述べ、クラウド先進国である米国のシステムを用いる意義や国内IaaS事業者との違いを強調した。

ジョイエントのジェイソン・ホフマン氏(左)とファーストサーバ代表取締役の磯部眞人氏(右)

■関連サイト

カテゴリートップへ

この特集の記事
ピックアップ