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災害と停電を乗り越えるためのホスティング活用術 第2回

重要なデータだからこそ外部にバックアップ

社内サーバーの遠隔バックアップを低価格に実現する

2011年08月01日 09時55分更新

文● TECH.ASCII.jp

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先頃の3・11の東日本大震災を考えると、社内置きのサーバーも安全とはいえない。ファーストサーバの新サービス「セレクト・シリーズ」を使って、社内置きサーバーのデータをバックアップするというパターンを考えてみよう。

今も多い社内置きサーバーのバックアップは?

 社内のサーバールームにサーバーを設置している「社内置き派」は現在も意外と多い。管理者の手元にサーバーがあるという安心感やメンテナンスのしやすさ、高速なLANでの利用といった事情があり、外部のデータセンターやホスティングサービスの導入に踏み切れないというパターンだ。

 しかし、3・11の大震災とそれに伴う計画停電の影響で、こうした社内置きサーバーのバックアップに大きな注目が集まっている。地震や津波などの自然災害で、社屋自体が大きな被害を受けた場合、サーバールームのサーバーは利用不能になる。特に複数の拠点を持たず、1つの社屋でビジネスを行なっている企業は、大災害に遭ってしまえば、システムはすべて利用できなくなる。

 こうした災害からいち早くシステムを復旧し、業務を継続するためには、耐障害性に優れ、電力面でも安定したデータセンターへの移転が最適解であろう。しかし、実際は前述したようないろいろな理由があってサーバーが社内置きになっていることも多く、なかなか動かせない。そのため、災害対策においては、遠隔のデータセンターにサーバーを用意し、業務データやシステム自体をリモートバックアップするのが最適なソリューションとなる。

 とはいえ、こうしたリモートバックアップはコストと手間がかかるため躊躇するユーザーも多い。リモートバックアップの場合、単にバックアップやレプリケーションのソフトだけではなく、バックアップサイトにサーバーを用意しなければならないし、インターネットを使う場合はセキュリティを確保するためのVPNも重要だ。もちろん、インターネット経由であれば、バックアップサイト自体が攻撃されないように、ファイアウォールも必要になる。

VPNやファイアウォールまでパッケージ化

 リモートバックアップに必要なものを一切合切まとめてパッケージにしてしまったのが、ファーストサーバが8月1日に発表したばかりの「セレクト・シリーズ」である。

セレクト・サービスの概要

 セレクト・シリーズは、名前のとおり基本的には1/2/4台の構成で物理サーバーをレンタルするものだ。1台構成のセレクト1のほか、セレクト2は最大2台、セレクト4は最大4台までのサーバーをまとめて月額利用できる。Xeon、Core i3、Pentium GなどのCPUを選択できるほか、OSとしてWindows Server、データベースとしてSQL Serverを選択できる。メモリは2/4GB、HDDも500GB標準搭載しているので、スペック的にはまったく問題ない。ネットワークに関しては、セレクト1では最大10Mbps、セレクト2/4ではサーバー間のローカル接続に加え、インターネット用の接続も最大30Mbps確保されている。

 ここまでであれば普通のレンタルサーバーだが、セレクト・シリーズではSSL-VPNとファイアウォールが標準搭載されているという点が真新しい。つまり、インターネットを経由したリモートバックアップがセキュアに、容易に行なえるというわけだ。

 もう1つ特筆すべき点は、サーバーがIDCフロンティアのデータセンターであるアジアン・フロンティア(北九州)に設置されているという点だ。首都圏や関西圏からも遠い北九州のデータセンターは、業務継続を実現するためのBCPや、電力供給という観点からも最適な立地といえるだろう。もちろん、遠隔での操作を快適に行なうためのリモートKVMやPDUなどが標準で用意されているため、まるで手元のマシンを扱うかのようにデスクトップや電源を操作することが可能だ。

IDCフロンティアのデータセンターであるアジアン・フロンティア(北九州)

 そして注目したいのは、やはり価格である。サーバー1台のセレクト1では、月額4万6200円(税込)から利用できる。遠隔サイト間でのリモートバックアップやレプリケーションを実現するのに数百万円かかることを考えたら、非常にリーズナブルで敷居も低い。メモリやHDDの増設、運用代行サービスも用意されており、幅広く社内置きのバックアップの要望に応えられる。

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