ブレーキの効き具合が特徴的!
しばらく走らせていると気づくのは、ブレーキの効き方が特徴的である点。普通の車は、パワーアシスト用に油圧を使っているが、EVには油圧発生器がない。詳しくは後述するが、i-MiEVの主ブレーキは回生ブレーキで、回生ブレーキが効かなくなる低速時(おおよそ時速20~10km以下程度)には、エアーを使ったパワーアシストが行なわれている。そのため、時速60kmからのブレーキングは、軽くブレーキべダルを踏めば回生ブレーキがかかってどんどん減速するが、時速10km程度になると回生ブレーキはかかららずに、エアーによるアシストの摩擦ブレーキがかかるようになっている。
ガソリン車であれば、終始ディスクとパッドの摩擦でブレーキをかけるので、ブレーキペダルの重さはほとんど変わらず、停止直前にはペダルを少し緩めて停車するだろう。しかし、i-MiEVは回生ブレーキから、エアーによるアシストの摩擦ブレーキに切り替わるので、ガソリン車とは逆に完全に停止するまでべダルを徐々に踏み込む必要がある。
峠道を走る読者は経験したことがあるかも知れないが、ブレーキオイルが沸騰してエアが入ってしまうあのヴェイパーロック現象に似ていると言っていいだろう。とはいえ、ブレーキペダルの制動力がまったく掛からないというワケではなく「お! ブレーキベダルが軽くなった! 回生ブレーキが切れてエアーに切り替わったな」と分かる程度だ。
またi-MiEVは、ドライバーが詰まった車間をアクセルコントロールで広げたいのか、信号などで停車したいのかを検知するために、回生ブレーキのかけ方に工夫をしているように感じた。単にアクセルを戻した場合は、回生ブレーキをさほど効かせず、ガソリン車同様に弱めにブレーキをかけるが、ブレーキペダルを踏んだ瞬間i-MiEVはドライバーが止まりたいことを察知して、回生ブレーキを強めにかけるようになっている。
i-MiEVの航続距離を伸ばすためにも、減速したい場合はアクセル操作で速度を緩めるのではなく、積極的にブレーキを踏んでドライバーの意思を明確に車に伝えるほうがいいようだ。
またガソリン車のシフトレバーとは、少し異なっているのも特徴的。
ガソリン車だと2速と1速にあたる部分が、それぞれ「ECO」と「B」レンジになっている。ECOレンジは、加速時のモーターへ流れる電流を抑制するモードで、急加速はできなくなるもののバッテリーの消費を抑える。ただし、回生ブレーキの効き具合はDレンジとまったく同じで、ブレーキを踏むことで回生ブレーキの効きがよくなる。ECOレンジではかなりアクセルがだるくなり、信号待ちからのスタートは後続車がレーンチェンジして追い抜いていくので、加速はDレンジで、定速走行に入ったらECOレンジに入れるといいだろう。また、急な上り坂や高速道路もECOレンジではパワー不足感が否めない。こちらもDレンジがオススメだ。
一方Bレンジは、基本的に長い下り坂などで回生ブレーキを利用して、ディスクブレーキの負担を減らすものと考えていいだろう。ただし、かなり強くブレーキが掛かるので、高速の下り坂ではきつ過ぎるかも知れない。さらに運転の仕方次第では、街乗りで使うこともできる。Bレンジの場合アクセルから足を離すと、フットブレーキを踏まなくても強く回生ブレーキがかかるので、微妙なアクセルコントロールさえ心がければ、回生ブレーキでバッテリーを充電しながら航続距離を伸ばせる。しかし、アクセルから急に足を離すとブレーキランプが点灯しないまま、回生ブレーキがかかるため、後続車が近くにいると事故を誘発しかねないので注意が必要だ。また、相当に微妙なアクセル操作をしなければ、車に弱い人はブレーキのGがかかったり、加速のGがかかったりと頻繁に体を揺さぶられるので、車酔いの原因になるだろう。
この連載の記事
-
第3回
トピックス
ジェットコースターの加速! スーパーEV・TESLAを体験 -
第1回
トピックス
エレクトリック・ラグジュアリー! 未来すぎる日産リーフをドライブ -
トピックス
痛車乗りは電気自動車の夢を見るか? - この連載の一覧へ