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痛車でラリー! メロンブックスインテ2年目の挑戦 第7回

北の大地は容赦なし! メロン号、北海道はリタイヤに

2011年10月19日 20時17分更新

文● 中村信博 写真● 中島正義、みつつじきみあき

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次々と崩れゆく上位陣
この混沌のラリーを制するのは!?

 そしてこのSS5以降、上位陣が次々と崩れ去っていく。痛車ライバルのCUSCOジュニアラリーチーム、エースの明治慎太郎選手/漆戸あゆみ選手組サトリアネオが、同じくSS5でドライブシャフト折損により戦線離脱。そして昨年度チャンピオンの香川秀樹選手/船木一祥選手組インテグラが、SS7でラジエター破損によりリタイヤ。さらにSS9ではシリーズ3番手につけていた松原久選手/香川俊哉選手組ブーンがコースアウトと、JN-3クラスのランカーたちが次々と戦列から離れていったのだ。JN-3クラスで2日目に駒を進めたのは、わずかに3台のみ!

 デイ1最終サービスが終わる頃、メロン号が積載車に載せられて北愛国サービスパークに帰ってきた。斜面で裏返しになったメロン号の天井はつぶれ、フロントガラスに蜘蛛の巣のようなヒビが走っている。さらに縁石にヒットした際に右リヤの足回りが折れ曲がり、タイヤがあらぬ方向を向いて転がすことすら困難な状態だ。

ガラスが割れ、天井が大きくへこんだメロン号。とはいえ、これくらいで済んで幸運だった。もし天井から先に着地するような大クラッシュだったら、この程度の損傷では済まないのだ

縁石にヒットした際に、右リヤの足回りが大きく折れ曲がってしまった。この部分のアームを全摘出して、スペアのパーツと交換することに。ショックアブソーバーに損傷が無かったのは不幸中の幸いだ

 一度リタイヤをしてしまったマシンでも、その日の午後11時までに修復を終えることができたなら、翌日のデイ2を走ることができる“スーパーラリー”という制度がある。もちろん完走した際に得られるイベントポイントはつかないが、来年に向けてのデータ取りとしてデイ2のステージを走ることは大きな意義がある。それに、多くのお客さんにメロン号が走っているところを見てもらうことができるのだ。こうしてメロン号を修復してデイ2にスーパーラリーで出走させることが決まったが、問題はパーツの確保だった。

 足回りに関しては予備パーツがあるので交換は簡単だが、問題はフロントガラス。帯広や釧路のディーラー、あるいは中古パーツ屋に問い合わせても、「北海道内にはインテグラ用フロントガラスの在庫は無い」という返事。

 藁をもすがる思いで苫小牧の協力ショップに電話すると、そのショップはあちこちへと連絡を取ってくれたらしく、ようやく札幌に1枚だけフロントガラスがあることを突き止めてくれたのだ。そして北海道大学自動車部の部員さんが軽トラックで走り回り、午後9時に北愛国サービスパークへと搬入してくれたのである。皆さん、本当にありがとうございました!

 そして、メカニックの激闘が始まった。今回MRCは、ゼッケン68の桑田幸典選手/澤田耕一選手組ランサーエボIXと共同サービスとなっていたが、この68号車もミッショントラブルによりリタイヤ。スーパーラリーを目指してミッション交換が行なわれることになっていたのだ。

夜の北愛国、全力でメロン号と68号車の復旧作業にとりかかるメカニックたち。タイムアウトが刻一刻とせまるなか、全員が一丸となって2台の整備にあたる

眞貝選手もレーシングスーツ姿のまま、自ら工具を握って整備に走り回る

 折からの寒波で気温が氷点近くまで下がった、夜の北愛国。わずかな明かりだけを頼りに、メカニックたちは全力で2台のマシンの整備に走り回る。その模様を伝えるツイッターの公式アカウント、応援メッセージは夜遅くにもかかわらず沸騰状態だ。そして午後10時59分、タイムリミットまであと1分というギリギリのタイミングで、修復を完了した両車はパルクフェルメへと送り出された!

ウインドシールドは本来ならプラスチック製のモールでボディと固定されているが、これはほぼ再使用ができない。ピアノ線と大型のカッターナイフを駆使して、割れたガラスをボディから切り離す

ガラスの切除作業と平行して、後部ではボディの板金作業が行なわれていた

到着したウインドシールドの周囲に、モールの代わりに接着剤を厚く塗り、枠に正確にあわせて固定する。天井との間に少し隙間ができたが、若干の板金と接着剤をさらに流し込むことで対処

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