スリープしながらデータは同期!?
Connected Standbyで使い勝手もスマホ並みに
前ページで挙げた改良点は、パソコンでの無線LANを使いやすくする工夫であるが、ここから説明する「Connected Standby」は、パソコンの弱点を克服してスマートフォン並みの使い勝手を実現する、Windows 8の目玉機能のひとつと言える特徴だ。
Connected Standbyとは何かを簡単に言うと、「待受状態のスマートフォンのように、スタンバイ状態でも更新されたウェブサービスの情報を自動で取得する機能」である。スマートフォンは電源がオンでデータの自動同期が有効なら、画面の消えた待受状態でもメールの受信やTwitterのタイムライン更新が可能である。しかしパソコンで画面だけをオフにして、データは受信できるようにアプリを起動したままでいると、消費電力はほとんどディスプレーの分しか減らない。
そこでConnected Standbyでは、パソコンがスタンバイ状態でも1分置き程度に無線LANを動作させて、インターネットからの情報更新を受け取れるようにする仕組みを導入する。Connected Standby状態での通信はほんの一瞬なので、完全なスリープよりは若干増えるものの、わずかな消費電力で情報更新は維持したまま、長時間のスタンバイが可能になる。
Metro Styleのアプリであれば、Connected Standby状態での情報更新を受け取れる。例えばMetro StyleアプリのTwitterクライアントであれば、スタンバイ状態でも更新されたツイートを受信して、パソコンを復帰させれば即座にStart Screen上に更新情報を表示するといったことが可能になる。
Connected Standbyを実現するには、OSやデバイスドライバーはもちろんのこと、無線LANのハードウェア自体もConnected Standbyに対応した機能を持つ必要がある。CPUが稼働しなくても、無線LANモジュールだけで無線通信を確立して通信するのに必要な情報(例えば接続先アクセスポイントの情報)を、モジュール側で保持できなければならない。そのため既存の無線LANモジュールでは、対応出来ないかもしれない。
マイクロソフトではConnected StandbyをWindows 8の重要な機能と位置付けている。そのためWindows 8を搭載したモバイルノートやタブレットでは、この機能をサポートすることが強く求められるだろう。
そのほかにもWindows 8の無線LAN機能では、パソコン同士を無線LANで直結する「Wi-Fi Direct」と呼ばれる機能が搭載される予定だ。記者が出席した講演では詳細が説明されなかったのだが、既存のアドホック接続をより簡単にして、パソコン同士を無線LAN接続する機能のようだ。無線LANルーターがない環境でも1台のパソコンをブリッジ接続して、ほかのパソコンからも簡単にインターネット接続が利用できるようになるという。
UI面からConnected Standbyまで、地味ではあるがノートパソコンやWindows 8搭載タブレットの使い勝手を改善する機能が、Windows 8ではいくつも用意されている。マイクロソフトがこうしたモバイル機器分野での、Windows 8の優位性実現に真剣であることがうかがえる。ユーザーとしても無線LANの使い勝手が大きく向上する機能だけに、製品版の登場が待ち遠しくなるだろう。
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