2011年6月10日、AMDからPhenom II X4の最上位モデル「Phenom II X4 980 Black Edition」(3.7GHz、以下980 BE)が発表され、秋葉原でも販売がスタートした。
日本市場では「Phenom II X4 975 Black Edition」(3.6GHz)がいまだ発売されていないため、4コアのPhenom IIとしては2010年9月に発売された「Phenom II X4 970 Black Edition」(3.5GHz)以来の、久しぶりの新製品となる。
すでに、次世代CPU「Zambezi」こと「AMD FX」シリーズの足音も聞こえる中で発売された「980 BE」は、K10マイクロアーキテクチャとしては最後の製品となる可能性もある。そんな、Phenomシリーズ最高クロックモデルの性能をチェックしていきたい。
動作クロックはAMD史上最高となる3.7GHzに到達
Phenom II X4はプロセッサナンバーの末尾が「5」上がるごとに、クロックが100MHzずつ上昇している。980 BEの動作クロックもこのルール通り「Phenom II X4 975 Black Edition」の3.6GHzから100MHz向上し、3.7GHzとなっている。
これは、AMD製プロセッサとしてはもちろん、TurboBoostやTurboCoreといった自動オーバークロック機能を除けば、デスクトップ向け4コア製品として最高クロックを更新したことになる。
当初クロックが上がらず、更にはエラッタの問題が発生するなど苦難の船出を迎えたPhenomシリーズ。製造プロセスを微細化したPhenomIIシリーズが登場してからは比較的順調にクロックも上昇しているが、「3.7GHzまでよくクロックを上げてきたな」と正直感慨深いものがある。
CPU-Zのステータスを確認すると、既存のモデルからコアやリビジョンに変更はなく、L2キャッシュはコアごとに512KB、L3キャッシュが6MBなのも同様だ。もちろん、「Black Edition」のため、倍率変更によるオーバークロックも可能となっている。
テスト環境
さてCPUについて確認できたところで、早速ベンチマークテストにて性能をチェックしていくことにしよう。今回は980 BEに加えて、比較用として下位製品となる「Phenom II X4 965 Black Edition」(965 BE)と6コアのローエンド製品「Phenom II X6 1055T」(1055T)を用意した。
CPUスペック表 | |||
---|---|---|---|
Phenom II X4 980 BE |
Phenom II X4 965 BE(125W版) |
Phenom II X6 1055T |
|
開発コード | Deneb | Deneb | Thuban |
コア数 | 4 | 4 | 6 |
動作クロック | 3.7GHz | 3.4GHz | 2.8GHz |
TurboCore時クロック | - | - | 3.3GHz |
L2キャッシュ | 512KB×4 | 512KB×4 | 512KB×6 |
L3キャッシュ | 6MB | 6MB | 6MB |
TDP | 125W | 125W | 125W |
テスト環境は以下の通りだ。
テスト環境 | |||
---|---|---|---|
CPU | Phenom II X4 980 Black Edition(3.7GHz) Phenom II X4 965 Black Edition(3.4GHz/125W版) Phenom II X6 1055T(2.8GHz/125W版) |
||
マザーボード | ASRock「890GX Extreme 3」(AMD 890GX) | ||
メモリー | A-DATA「AD3U1333C4G9-2」(DDR3-1333 4GB×2) | ||
ビデオカード | ASUSTek「EAH5850 DIRECTCU/2DIS/1GD5」(Radeon HD 5850/1GB) | ||
HDD | Seagate「Barracuda 7200.10 ST3500418AS」(500GB/SATA2) (160GB) | ||
電源 | Corsair「CMPSU-750HXJP」(750W) | ||
OS | Windows 7 Ultimate SP1(64bit) |
(次ページへ続く)
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