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「HP Hybrid Deliveryソリューション」は今年の夏に登場

HP、独自のクラウドサービス提供開始に踏み切る

2011年01月27日 06時00分更新

文● 渡邉利和

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1月26日、日本ヒューレット・パッカードは企業や政府機関等を対象としたプライベートクラウドサービス「HP Enterprise Cloud Service-Compute(HP ECS)」を日本国内でも今年の夏以降に販売開始することを発表した。

HPのクラウド戦略とCIOの役割

 HPでは、昨年秋に発表された「Instant-On Enterprise」というコンセプトを推進している。これは文字通り、「即座にオンになる」といった変化への即応能力を意味しており、クラウドの活用も“企業の変化への対応能力を高め、即座にビジネスを実行していくためのツール”として位置づけられることになる。

エンタープライズサービス事業統括 ITアウトソーシング事業本部長の西尾 新一氏

 まず概要説明を行なった同社のエンタープライズサービス事業統括 ITアウトソーシング事業本部長の西尾 新一氏は、同社がInstant-Onを実現するための具体的なソリューションとして用意している“HP Converged Infrastructure”“HP Application Transformation”“HP Information Optimization”“HP Enterprise Security”“HP Hybrid Delivery”の5種類のうち、今回の発表がHP Hybrid Deliveryに含まれるものだという位置づけを確認した。

 HPでは、CIOの役割を「ITの構築者であり仲介者となる」としており、従来型IT、プライベートクラウド、パブリッククラウドといったさまざまな選択肢の中から社内ユーザーが必要とするアプリケーション/サービスを適宜選択し、組み合わせて提供する、という「ハイブリッド・デリバリ」モデルを推進している。クラウドサービスは、このハイブリッド・デリバリの際の選択肢の1つとなるわけだ。さらに同氏は同社のクラウド戦略を「クラウド事業者の支援」「企業内クラウドの構築を支援」「クラウドサービスの提供」の3本柱だとした上で、今回のHP ECSは3番目のクラウドサービスの提供の具体的なメニューだとした。

ITサービスのさまざまな形態

 続いて、同社のエンタープライズサービス事業統括 ITアウトソーシング事業本部 クラウド・サービス ビジネスプランニング・マネージャの増永 俊和氏が、HP ECSの概要について紹介を行なった。

エンタープライズサービス事業統括 ITアウトソーシング事業本部 クラウド・サービス ビジネスプランニング・マネージャの増永 俊和氏

 HP ECSは基本的にはHPが運営するデータセンターのリソースを活用して提供されるIaaS型のクラウドサービスとなる。具体的な提供メニューはユーザーの要望などを踏まえて今後詰めていくとのことだが、同社のエンタープライズサービスとしてはごく普通のことではあるが、ユーザーの要望次第でほぼ何でも提供するような環境が用意されているようだ。基本的な位置づけとしては、HP ECSは「ハイブリッド・デリバリのための部品であり、キー・コンポーネント」だと位置づけられる。既存の自社所有のITリソースを併用しつつ、一部はプライベートクラウド化し、さらにHP ECSのような外部のクラウドサービスも併用し、というハイブリッド・デリバリの環境を実際に実現するためのコンサルティングサービスなども提供されることになる。

ECSのロードマップ

ECSの特徴とメリット

 具体的なメニューの内容や提供価格などは明らかになっていないため、現時点ではコンセプトの発表に留まっているが、政府/公共機関の利用なども想定したオーディットベースのセキュリティが実現され、データのトレーサビリティも提供されるとされている。この結果、ユーザーのデータが「どこに保存されているか」が可視化されるなど、従来のパブリッククラウドでの問題点とされていた点について解決が図られている面もある。夏以降といわれる具体的なサービス開始の時点でより詳細な情報が明らかになることに期待したい。

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