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クラウドビジネスの推進母体となる「クラウド事業本部」も設立

プライベートクラウドの立ち上げを支援するHP CloudStart

2011年05月20日 08時00分更新

文● 渡邉利和

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5月19日、日本ヒューレット・パッカード(HP)は、ブレードサーバ「HP BladeSystem Matrix」にプライベートクラウド環境に必要な管理ツールと構築サービスをパッケージ化した「HP CloudStart」を発表した。併せて、5月から同社のクラウドビジネスの推進母体となる「クラウド事業本部」が設立されたことも明らかにした。

プライベートクラウドのためのパッケージ

 最近はありとあらゆる製品/ソリューションがクラウド対応、もしくはクラウドそのものだと喧伝され、クラウド自体が自己目的化したような印象さえ受けるほどにクラウドが一般化しつつあるが、HPの取り組みはやや冷静にクラウドを目的のための実現手段と位置づける。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 テクノロジーコンサルティング統括本部長兼 クラウド事業本部長 有安 健二氏

 同社の執行役員 テクノロジーコンサルティング統括本部長で、新たにクラウド事業本部長も兼任する有安 健二氏は、約一年前に公表した同社の“Instant-on Enterprise”というビジョンの重要性を強調した。

 端的にいえば、Instant-on Enterpriseとは、「瞬発力、俊敏性を発揮できる企業になる」という目標であり、同氏は「Instant-on Enterpriseを実現するための手段がクラウドであり、クラウドはInstant-on Enterprise実現のためのソリューションそのものである」と位置づける。さらに同氏はHPのクラウドを「ITの変革」だと語り、「as isからto beのIT基盤を実現」するのだという。こうした意識を背景に、同社では特定のツールが使われていればクラウド、といった単純な見方はせず、企業に俊敏性や柔軟性をもたらすような新しい形のIT基盤を構築することをさしてクラウドと呼んでいる。

Instant-on Enterpriseの概要

クラウドを実現するためのサービス体系

 それを踏まえれば、いくつかの管理ソフトウェアがプレインストールされたブレードサーバーと見えるHP CloudStartが「基盤となるクラウド環境実現へのパッケージングサービス」と位置づけられる理由も分かるだろう。HP CloudStartを導入するのは、単にブレードサーバを1台導入するというレベルにとどまらず、新たなIT基盤構築に向けた第一歩を踏み出すという意味になる。HP CloudStartの重要な構成要素の1つとして構築サービスが含まれている理由もそこにある。

HP CloudStartの概要

HP CloudStartのサービス体系

 なお、HP CloudStartではプライベートクラウド環境の早期導入を強く意識し、「サービス立ち上げの俊敏性」を実現することを主軸に据えたパッケージとなるため、あらかじめ想定されたテンプレートがうまく適合するユーザーがまずは導入対象となるのだが、あらかじめパッケージ化された設計パターンから最適な構成を選定することで、ハードウェア到着後約30日でプライベートクラウドが構築できるという。

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