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竹中工務店と組んで、震災にも強いデータセンターをご提案

500Uの高密度コンテナ型データセンター「HP POD」が上陸

2011年07月29日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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7月28日、日本ヒューレット・パッカードは国内のコンテナ型データセンター市場に参入し、第一弾として水冷型の「HP POD 20c」を発表した。また、竹中工務店をパートナーに、日本での特殊事情に考慮したデータセンターの導入を支援する。

6カ月で企画からIT構築まで実現する

 発表会の冒頭、エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 執行役員の杉原博茂氏は、ITを瞬時に立ち上げる「Instant-On Enterprise」という同社のコンセプトをまず概説。インフラ面で迅速なIT導入に寄与する次世代の「オルタナティブデータセンター」としてコンテナ型データセンターのメリットを強調した。

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 執行役員の杉原博茂氏

 実際、今まで企画から設計、施工、そしてITの構築まで通常24カ月かかる従来型のデータセンターに比べ、同社のコンテナ型データセンター「HP POD(Performance Optimized Datacenter)」では、約6カ月での構築を可能にする。「単なるコンテナではない堅牢なデータセンターを、仮設住宅を作るよりも早いか、遅いかというスピード感で立ち上げる」(杉原氏)と述べる。また、電力効率や設置面積という面でも高い投資対効果が得られるという。

オルタナティブデータセンター HP PODのメリット

 さらに日本の特殊事情にも配慮する。たとえば、世界の土地の0.25パーセントしかないのに、世界の地震の20%強が発生しているという世界有数の地震大国という事情だ。また、土地が狭いということから、既存データセンターの空きスペースを活用したいというニーズもある。こうした事情やニーズに対応するため、大手ゼネコンの竹中工務店と提携し、サービスや免震導入などをサービステンプレート化。建設・施工の短期化、顧客ニーズの取り込みなどを行なうという。杉原氏は、「最終的には47都道府県すべてにHP PODを設置し、これらを全部結んだグリッド型データセンターに構成していきたい」という展望を述べた。

高い集積密度と導入実績が大きな売り

 続いて詳細について説明したサーバーマーケティング統括本部の中井大士氏は、今回発表されたコンテナ型データセンター「HP POD 20C」と、竹中工務店との協業で実現した「HP POD プレミアムサービス」について解説した。

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング事業本部 インダストリアルサーバー製品本部 サービスプロバイダ&HPC ビジネス開発 中井大士氏

 コンテナ型データセンターが登場した背景として、中井氏は、「今まではセキュリティや堅牢性など重厚なファシリティ環境を要求されていた。しかし、昨今はクラウドやデータセンターの競争が激化していることで、迅速性とコスト効率をいかに高めるかに注目が集まっている」と、データセンターの要求が多様化していると説明した。しかし、実際は「データセンターの構築に時間がかかる」、そして「ITとファシリティが連携していない」という2つの課題が、この迅速性とコスト効率を妨げているという。これを解決するのがHP PODだ。

500Uのラックスペースを用意するHP POD 20Cの概要。20フィートのサイズを持つ

 HP POD 20cは水冷システムを採用した20フィートのコンテナ型データセンターユニット。500U分のサーバーを搭載でき、電力設備や冷却設備もパッケージ化しているという。価格面では建屋型より約45%削減、PUEも1.25以下を実現。モジュール型であるがゆえ、成長に合わせて拡張可能という特徴を持つ。米国のヒューストン工場で製造し、「オーダーをいただいて、製造し、実際に設置するまでであれば約3カ月で実現できる」(中井氏)ということで、スピーディな導入が可能だ。

米国で製造し、海上輸送。約3カ月で製造から導入まで行なえる

 HP POD 20cの最大の特徴は、その集積密度にある。他社製品の平均が約300U程度、ラックあたりの電力供給が約18kW程度なのに対し、HP PODは50Uラックを10本用意することで500Uを実現。また、ラックあたりの電力も29kW供給できる。こうした集積密度は、「高性能なファンを実装している。また、ホットアイルとコールドアイルをきちんと分離している」(中井氏)など、おもに冷却設備が充実したことで実現したものだという。

他社製品に比べた集積密度と電力供給能力が大きな売り

 すでにグローバルで20社40台以上という導入事例を持っているのも大きな売り。「コンテナ型データセンターは、『クラウドの申し子』といわれるが、実際はいろいろな業種業態で使われている」(中井氏)とのことで、クラウド事業者以外の一般企業の導入も多いという。HP POD 20Cの価格はオープンプライスで、別途水冷用のチラーが必要になる。

ITとファシリティの合わせ技でより早く

 また、あさせてHP PODプレミアムサービスについても説明が行なわれた。ITとファシリティをトータルにコンサルティングした設計や施工を行なう「HP/竹中データセンターアジリティサービス」、HP PODのセットアップやIT機器の稼働確認まで行なう「HP PODスタートアップサービス」、HP PODを対象とした「HP POD保守サービス」を提供する。

 発表会の後半では、竹中工務店 エンジニアリング本部 データセンター推進グループ グループリーダー 後神洋介氏が登壇し、HP/竹中データセンターアジリティサービスについて説明した。

竹中工務店 エンジニアリング本部 データセンター推進グループ グループリーダー 後神洋介氏

 大手ゼネコンの一角を担う竹中工務店は、国内でも多くのデータセンターを手掛けているが、今までITとファシリティのベンダーの連携が十分でなかったという。そのためお互いに待ちの時間が発生し、工期が長期化していたという課題があった。しかし、ワンパッケージ化されたHP PODの登場により、施工の期間を大幅に短縮できるという。さらに、コンテナ数、レイアウト、インフラ供給、免震、建物などに関するテンプレートをいくつか用意しており、スピーディな施工に貢献すると説明した。特に免震設計は国内でシェアNo.1の実績を持っており、建物自体のほか、床やラックの免震などをトータルにプロデュースできるという。

 法規制の緩和やデータセンターの地方移転という追い風があり、今年はコンテナ型データセンターが1つのトレンドとなる。ワールドワイドで実績を持つHPの参入で、市場がますます活気づくのは間違いない。

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