いま旬のビジネスPC 第25回
Linuxベースの独自OS「HP ThinPro」を採用
Atom搭載の高性能シンクライアント「HP t5745 Thin Client」
2010年12月20日 09時00分更新
日本ヒューレット・パッカードから登場した「HP t5745 Thin Client」(以下、t5745)は、Linuxベースの独自OS「HP ThinPro」を搭載したシンクライアントである。
HPは、PCの販売台数で世界一を誇る大手メーカーだが、ワークステーションやサーバー、シンクライアントに関しても製品を多数投入し、エンタープライズ分野でも高い支持を得ている。また、シンクライアントに関しては、国内シェアNo.1を誇っている。
t5745は、同社のシンクライアントの中でも、フラッグシップに位置するモデルであり、シンクライアントとしては高い性能が魅力だ。
なお、シンクライアントシステム構成例として、サーバーがHP ProLiant DL360 G6×4、300ユーザー構成の場合、1ユーザーあたり約10万円、HP BladeSystem c3000 EnclosureとHP ProLiant BL495c G6×8、300ユーザー構成の場合、1ユーザーあたり約13万円程度となる。
ここでは、t5745を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。
Atom N280を搭載
シンクライアントは、通常、ほとんどの処理をサーバー側で行ない、必要最小限の処理のみクライアント側でするため、それほど高い処理能力は要求されない。
同社のシンクライアントでも、エントリークラスのモデルでは、ARMやVIA Nanoなどのやや非力なCPUを搭載しているが、t5745は、シンクライアントのCPUとしては高性能なAtom N280(1.66GHz)を搭載していることが特徴である。
t5745は、Atom N280を搭載したことで、VNCシャドウイングや動画のストリーミング再生といった、従来のシンクライアントでは難しかった機能を実現している。
メインメモリーは1GBで、ストレージとして1GBのフラッシュメモリーを搭載する。Atom N280は、消費電力が小さく、発熱が少ないため、ファンレス動作を実現していることも評価できる。
ストレージもフラッシュメモリーであり、ゼロスピンドルを実現しているため、騒音が発生せず、耐久性や信頼性も高い。
コンパクトで省スペース性の高い筐体
省スペース性が高いこともt5745の魅力だ。筐体サイズは幅44×奥行き222×高さ255mm(スタンド装着時は幅44×奥行き222×高さ266.7mm)とコンパクトで、重量も約1.58kg(スタンド装着時)と軽い。
オプションの「HPフラットパネルモニタQuick Release」を利用すれば、液晶ディスプレーの背面や机の天板の裏などへの設置も可能になり、デスクの占有スペースを減らせる。受付や会議室用としても最適だ。
また、シンクライアントながらインターフェースが充実していることも特徴。USB 2.0×6やシリアル、PS/2×2、アナログRGBのほか、DisplayPortも備えている。
さらに、筐体上部にセキュアUSBコンパートメントが用意されていることも特筆できる。
セキュアUSBコンパートメントはカバーで覆われており、アクセスにはドライバーが必要だ。セキュアUSBコンパートメントの内部には、USB 2.0ポートが2基用意されている。
USBメモリーなどのデバイスを装着してカバーを付ければ、盗難や紛失を防げる。
(次ページ、独自OS搭載でセキュアな環境を実現)
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