10月25日、インテルはvProテクノロジーの進捗に関する発表会を行なった。2006年9月(日本では10月)のvProリリースから1500日目の節目に行なったもので、NECキャピタルソリューションやシトリックスによるvProを利用したソリューションなどが紹介された。
記者発表会の冒頭に登壇したインテル取締役副社長の宗像義恵氏によると、vProテクノロジー搭載のPCの出荷台数は5500万台を超えており、パートナーによる運用管理のためのソフトウェアやサービスも広まっているという。一般ユーザーからすると、まだまだ馴染みの薄いvProだが、利用環境は整っているとのこと。
vProは機能が徐々に追加されており、現時点では、
- インテルAMT(Active Management Technology)
- インテルTXT(Trusted Execution Technology)
- インテルVT(Virtualization Technology)
- インテルAT(Anti-Theft Technology)
の4機能が用意されている。
インテルAMTは、PCの運用管理を支援する機能で、搭載するハードウェアやソフトウェア資産の「検出」、リモートでの電源管理や診断、再インストールなどを行なう「修復」、常駐プログラムを監視し、不正なプログラムを自動的に隔離する「保護」からなる。
ワールドワイドで9万台のPCを保有するインテルも、来年の初頭までに95%をvPro対応製品に置き換え、管理を始めるという。ほかに、NTTデータや東京都中央区の聖路加国際病院での導入事例が紹介された。聖路加国際病院では、夜間のパッチ適用およびデータ配信のためにvProの導入をはじめ、累計で2000台を導入済み。省電力化と運用管理効率改善のため、院内のすべての端末のvPro対応PCに置き換え、2011年初めの稼働に向けて準備中だという。
また、盗難(Theft)対策機能であるインテルATについては、NECキャピタルソリューション(旧NECリース)の「SecureDoc Managed Service」が紹介された。SecureDocは、カナダのウインマジック(WinMagic)のディスク暗号化ソフトウェアで、2010年4月にインテルATへの対応を発表している。インテルATとSecureDocを組み合わせると、盗難・紛失をオンライン/オフラインで検知してPCの起動を阻止し、また取り戻された際には正常動作に戻すことが可能となる。
SecureDoc Managed Serviceは、SecureDocのオペレーションを代行するサービスだ。まず、NECキャピタルソリューションがPCを調達し、ツールのインストールやHDDを暗号化した状態でユーザーに納品する。そして、万が一そのPCを紛失した場合、同社のサービスデスクに連絡すると、遠隔操作での利用停止措置を行なってくれる。戻ってきた際には、リカバリするサービスも用意している。
初期費用は無料で、月額費用が1台あたり600円程度必要になるという。
最後に紹介されたのは、仮想化支援機能のインテルVTを利用するシトリックスの「XenClient」だ。XenClientは、インテルの協力により開発されたクライアント仮想化ソフトウェアで、(OSを必要とせずに)PC上で直接動作するハイパーバイザーを使い、複数の仮想クライアントを動作させる。インテルVTの機能の中でも、I/Oデバイスを仮想化環境から利用可能にする「VT-d」を活用し、仮想クライアントからGPUへの直接アクセス(3Dグラフィックスの利用)を可能にする点が特徴の1つだ。
また、仮想クライアントはPC内に保存しておくのではなく、サーバーで集中管理し、必要に応じてユーザーに配信する仕組みを持つ。仮想クライアントはオフラインでも利用可能であり、オンライン時には変更点をサーバーにフィードバックするという。
インテルは今後もvProを拡充する予定で、2011年に発売予定の次世代CPU「Sandy Bridge(開発コードネーム)」では、さらなる電力効率の向上と機能強化を図るという。現時点でvProはビジネスPC向けの機能と位置付けられているが、リモート管理や盗難時のPCロックなどは、コンシューマ向けPCでも便利な機能。この点については、vProのコンシューマ向けのニーズも把握しているが、まだ検討中の段階だという。