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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第55回

もうすぐ登場する日本の電子書籍端末

新KindleとSony Readerから探る電子書籍端末の実力は

2010年09月24日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 Kindle 3は従来製品に比べて、大幅にコンパクトになったのが最大の特徴だ。利用しているディスプレーのサイズこそ、第2世代と同じ600×800ドット/モノクロ16階調の6インチ電子ペーパー(E Ink製)だが、周辺のサイズがぐっと小さくなり、明らかに「別物」という印象を受けるようになった。収縮色である黒になったため、見た目は、さらに小さくなったように感じる。

 それに合わせて重量も変わった。従来は約289gだったが、Kindle 3のWi-Fi版の場合は約241g、3G版の場合約247gまで減っている。「ほんの50gじゃない?」と思われるかもしれないが、手に持ってみるとサイズ縮小とあわせて、おどろくほど持ちやすくなった、と感じる。ほとんどの雑誌より軽く、文庫2冊分と同じくらいだろうか。最近は電車の中でも利用しているが、負担を感じたことはない。

左上から時計回りにKindle 3、Kindle 2、旧Sony Reader、Kindle DX(以下同)。同じ6インチディスプレー採用でも、白いKindle 2と黒いKindle 3では大きさの差は歴然。9.7インチのKindle DXはさすがに大きいが、重量は意外と軽い


新世代パネル「Pearl」の実力は絶大

 電子書籍端末にとって重要なのは、やはり「見やすさ」だろう。今回は、筆者手持ちの電子書籍端末の中から、第2世代Kindle(Kindle 2)、米国で2009年末に発売された「Sony Reader Daily Edition」、そして9.7インチ版Kindle「Kindle DX」のうち、第2世代のものを選び、見やすさや動作速度をKindle 3と比較、検証してみよう。

 Kindle 3はディスプレーパネルの世代が、Kindle 2や昨年までのSony Readerと異なる、最新の「Pearl」と呼ばれる世代に変更されている。この世代のパネルは、旧世代に比べて「コントラストが50%拡大している」ことがウリ、とされている。

 具体的にそれがどのような効果を生み出しているかは、写真で確認していただきたい。サンプルに使っているのは、青空文庫で公開されている「ドグラ・マグラ」(著:夢野久作)を、ウェブサービス「青空キンドル」を使ってPDFに変換したものである。スキャンしたいわゆる「自炊本」の場合は、もう少し眠い絵になると考えていただきたい。新型パネルは白部分がより白く、黒い部分がより黒い。「コントラストが高い」ということは、要はそういうことなのだが、読みやすさはやはりはっきり異なる。

日本語PDFの表示。旧Sony Readerはコントラストが低く曇った感じで、Kindle 2はちょっと白い部分が暗い。Kindle 3とKindle DXはほぼ同等である

Kindle向けに配信されている「朝日新聞英字・Kindle版」の表示。左から3、2、DX。やはり新世代パネル採用機の見やすさが目立つ

 第2世代Kindle DXの場合、Kindle 3と同じPearlを採用しているため、見やすさそのものはKindle 3と同様だ。ディスプレーサイズが9.7インチと大きいため、単純な読みやすさでは、6インチクラスのキンドルより上と言える。ディスプレー解像度も、大幅に高い824×1280ドットだ。だから、二段組みにしても十分に読める。

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