「新訳 かがみの国のアリス」タテ読みでアリスにさよなら……
挿絵78点で美少女炸裂! アリスが女王になる!?okama版 新訳アリス
2010年09月10日 00時00分更新
文● 第9編集部 タジマ
ルイス・キャロルは本当にロリコン?
「かがみの国」でアリスにさよなら……
「ふしぎの国のアリス」「かがみの国のアリス」の著者ルイス・キャロルが少女愛好者、いわゆるロリコンなのでは、という説がある。
実はこの件に関しては諸説相まって、現在では、キャロルは性的な意味合いでの興味を少女にもってはいたわけではないとの論調が一般的になっている。
しかし、キャロルがアリスのモデルとなった少女アリス・リドルを愛していたことだけは事実だ。
それは両作品を読んだ読者なら必ず感じとれることだろう。
「ふしぎの国」はキャロルの、アリス・リドルへの愛の讃歌。そして「かがみの国」は、キャロルがアリス・リドルへの愛と離別する物語なのだ。
そんな、アリスにさよならする小説、「かがみの国のアリス」が、河合祥一郎氏による新訳と、okama氏による78点もの描き下ろしイラストでうまれかわった。
前作「新訳 ふしぎの国のアリス」は、おかげさまで大好評となり、発売1週間で重版が決定し、版を重ねてただいま9刷めとなるが、今回の「新訳 かがみの国のアリス」はそれを上回るスピード、発売6日で重版が決定した。
たくさんの仕掛けのあるカバーイラスト。あとがきでも指摘されているが、鏡の周りの写真はルイス・キャロルが写真好きだったことに起因している/(c)okama/「新訳 かがみの国のアリス」(角川つばさ文庫)/ルイス・キャロル・作、河合祥一郎・訳、okama・絵/定価:609円 (本体580円) /270ページ/ISBN:978-4-04-631108-5/発売中
手前のアリスの瞳は、前作同様にハート型。そして鏡にうつったアリスは、白いドレスを着ている/(c)okama
カバー袖のイラスト。アリスが黒い子ネコを追いかけている。「ふしぎの国」ではウサギだったが、「かがみの国」では子ネコがアリスを異世界へとみちびくのだ/(c)okama
「かがみの国」の挿絵は78点!!
「ふしぎの国」51点よりパワーアップ!
美少女てんこもりで百合シチュエーションも!?
一般に、児童文庫の挿絵点数は、ライトノベルのそれよりも多い20点前後。
この、前知識がなかったとしても、78点という点数がとてつもない数字だと、おわかりになるだろう。
前作の「新訳 ふしぎの国のアリス」は挿絵が51点と、こちらもすごい数字だったため、発売当初、他社の編集者から「マジか!?」との問い合わせがあったほど。
「かがみの国」の78点は、「ふしぎの国」の51点よりもさらに27点も多く、平均すると3.5ページに1回の割合で挿絵が登場するという驚くべき児童小説だ。ちなみに挿絵だけではなく、両面カラー口絵もついており、コストパフォーマンスが異常に高い一冊に仕上がっている。
もちろん挿絵点数の多さだけではなく、内容も「ふしぎの国」とくらべて、より奇想天外なものとなっている。
さらに、本作ではアリスの他に、赤クイーンと白クイーンという2人の美少女も登場。ある意味百合とも受け取れるシチュエーションもあるため、見る人が見ればななめ上からの角度で楽しめるかもしれない。
子どもたちにも大好評な本作から、数点の挿絵と両面カラー口絵を転載して、そのあらすじを紹介していこう。
小さいポスターみたいなカラー口絵。おもては「新訳 ふしぎの国のアリス」のカバー画を大きくしたものだ。また右横にかくれんぼクイズを載せて、「みつけてね」と読者に呼びかけている/(c)okama
小さいポスターみたいなカラー口絵。裏は「新訳 かがみの国のアリス」のカバー画を大きくしたもの。おもて同様かくれんぼクイズを載せている。ゲーム感覚で楽しんでもらうことで、読者のこのイラストへの理解度を高めるねらいだ/(c)okama
黒い子ネコをたしなめるアリス。子ネコをしかっているうちに鏡の中の世界にはいってしまう/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
鏡の中に入るアリス。ページをめくるとアリスが鏡の中をくぐり抜けたのがわかる仕掛けになっている/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
鏡の中では文字がさかさまなのだ。ちなみに、諸君が手鏡をもっているなら、この文字を手鏡にうつしてもらいたい。何と書かれているか読めるはずだ/(c)Shoichiro Kawai
夢の中であることを思わせる下り、「アリスはあっという間に部屋から飛び出し、下の階へかけおり――いえ、少なくとも正確に言えば走っていたわけではなく、階段の手すりに指先をそえるだけで、足が階段にさわりもしないでふわりとうかんだまま下の階へおりられたのです」の挿絵。まさに「夢あるある」ネタだ/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
鏡の中の世界では、花がしゃべりだす。あ然とするアリス/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
チェス盤のように、正方形でくぎられた「かがみの国」。そう、「かがみの国」はチェスの世界なのだ/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
okama版赤のクイーンはツン美少女。彼女がアリスをチェス・ゲームにいざなう。ちなみにこのゲームに、アリスは、白のポーンとなって参加する/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
赤クイーンがツン美少女なら、こちらの白のクイーンは天然ボケ美少女。彼女の髪の毛がボサボサだったので、アリスがクシですいてあげるという、百合シチュエーションも/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
いねむりする赤クイーンと白クイーン。2人にはさまれて途方にくれるアリス/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
有名キャラの双子、トゥィードルダムとトゥィードルディー。ちなみに双子のどっちがどっちかわかりようがないと思われそうだが、服の襟に「ダム」「ディー」と刺繍されているため判別は可能/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
アリスが、トゥィードルダムに「まずは握手するもんや」と言われて握手をすると、なぜかもう一方のトゥィードルディーとも握手しないと申し訳ない気持ちになって、2人と握手。次の瞬間、3人で輪になって踊り出すというシュールな超展開に。ちなみにこの間アリスは「くわの木をぐるぐるまわろうよ」というマザーグースの童謡を歌いながら踊っていた/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
こちらも有名キャラのたまご人間ハンプティ・ダンプティ。いばりんぼうで知ったかぶりだけど、頭が悪いという設定/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
365-1=364という引き算さえできないハンプティ・ダンプティ。ちょっぴりおねえさんになったアリスは思わずほほえんで、メモ帳に書いて計算してあげるのだ/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
「ふしぎの国」の人気キャラ、帽子屋と三月ウサギが友情出演。名前は「ボゥシャ」と「ウシャギ」に変わっている。ちなみにボゥシャは、この前まで、罪も犯してないのに罪をこれから犯すだろうと先取りして牢屋に入れられていた/(c)Shoichiro Kawai (c)okama
(次ページ「アリスへの切ない片思い。NTR発動!?」へ続く)
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