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AzureもLiveもOfficeもすべてクラウドだ!

マイクロソフトのクラウド戦略に関する3つの誤解

2010年08月20日 18時00分更新

文● 塩田紳二

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Windows Azureを読み解く新キーワード
――「アプライアンス」「MPN」「MPR」とは?

Windows Azure アプライアンス

Windows Azure アプライアンスは、単にローカルに構築するクラウド(プライベートクラウド)を実現するだけでなく、開発してきた資産やミドルウェアを生かしてクラウドに移行するためにも有効だとする

―― 最近発表された「Windows Azure アプライアンス」とはどういうものでしょう? Windows Azure(の環境)を手元に置いて使えるという理解で正しいのでしょうか?

砂金 アプライアンスは、われわれからの新しい提案のひとつです。たとえば、法律などの問題で海外にデータ持ち出しができない、あるいは海外に置きたくないといった場合、現状では日本国内からAzureを利用できなくなってしまいます。われわれは、規模の経済(スケールメリット)を最大化するためにデータセンターを集約していますから、要望があるというだけで、新たに日本にもデータセンターを作るというわけにはいきません。データセンターを集約しているからこそ、あの価格が実現できているのです。

 また、われわれの提供するSLA(Service Level Agreement。クラウドでは『ベンダーが保証する稼働率』を意味する場合が多い)では、まだまだ足りないと考えているユーザーもいます。こうした状況に対応するのが「Windows Azure アプライアンス」です。これは「クラウド」版のOEMビジネスと考えることもできます。つまり、マイクロソフトがパートナーとともに、Windows Azureが動作するハードウェアを使ってサービスを提供するものなのです。

 ユーザーは、ハードウェアを購入するのではなく、Windows Azureを使ったサービスを利用することになります。データの保管場所やSLAといった条件だけでなく、たとえばパートナーによっては、独自のミドルウェアと組み合わせてクラウドサービスを提供するということもあるでしょう。これまでのWindows Azureは、マイクロソフトが自社のデータセンターで運営する“グローバルパブリッククラウド”としてしか利用できませんでしたが、他のパートナーが運営するサービスも選択可能になるということです。

―― Windows Azureなどでビジネスを行なおうとしたとき、今までのソフトウェア開発と同様、MSDNやTechNetの会員になって情報を入手するしかないのでしょうか? クラウドアプリケーションは、オンプレミスよりもビジネス性が高く、おそらくほぼ全てが何らかのビジネス関連の開発になるのではないでしょうか。オンプレミスのアプリケーションならば非ビジネス――たとえばフリーソフトウェアもありえるでしょうが、クラウドアプリケーションではほぼ100%が(たとえ無償提供であっても)ビジネスになるため、技術支援以外にもビジネス的なサポートも必要になると思うのですが?

砂金 マイクロソフトでは、当社製品を使ってビジネスを行なう「パートナー」への支援制度として「Microsoft Partner Network(MPN)」を持っています。そしてその中に、Windows Azureを含むさまざまなマイクロソフトプラットフォーム上でのソフトウェア開発を支援する「Microsoft Platform Ready(MPR)」という支援プログラムがスタートしています。まずは、これを活用するというのが一番の方法だと思います。

 ソフトウェア開発を支援するMicrosoft Platform Readyとは? そしてMicrosoft Partner Networkの詳細は? これについては次回の記事で明らかにしていこう。


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