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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第45回

デザインだけじゃない! 意外に骨太なEee PC 1008KR

2010年04月08日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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省電力性能は優秀
いざという時は「2本目」で対応

 バッテリーでの駆動時間も、かなり健闘している。バッテリーベンチマークプログラム「BBench」でのテストでは、駆動時間はおおむね2時間から4時間。一般的なウェブ閲覧などならば、確実に3時間以上は動作しそうだ。

省電力設定・バックライト最低 フルパワー・バックライト最高
約4時間6分 約2時間37分

 このあたりは、ASUS独自の省電力コントロール機能がうまく働いているのだろう。「Fn」キー+「スペース」キーで設定を簡単に切り換えられるようになっており、処理速度が欲しいときには「Super Performance」設定などに切り換えるのがお勧めだ。

 冒頭で述べたように、1008KRはバッテリーを容易に交換できる構造になっている。なぜなら1008KRには、標準で2本のバッテリーが付属するからである。2本使う前提にたてば、バッテリーでの駆動時間は当然2倍になる。

バッテリーは電源を切った後、フタを外して、ストッパーになっているボタンを押して「引き抜く」形で交換する。パームレストの下はほとんどがバッテリーになっている、と考えていい

 とはいえ、毎回5~6時間もバッテリーで使うなら、この使い方はあまり実用的ではない。バッテリーだけを独立で充電する方法がないし、入れ替え時には電源を切らねばならないためだ。

 だが、多くの人はそこまで長時間使うわけではないだろう。旅行時など、どうしても長時間使いたい時に2本バッテリーを用意し、それ以外は1本で済ませる、という形で使える。ACアダプターもかなり小型で軽く、常時持ち歩いても合わせて1.5kg程度に収まる。

 バッテリーが別途付属するのは、デザインの構造上、大容量バッテリーが用意できないためだろう。仕事のツールとしてバリバリ使うために、1本のバッテリーで長時間動作するパソコンを探している、という人にはやはりお勧めしづらい。また、正直ディスプレー解像度は狭いと思う。ネットブックとはいえ、広くお勧めするには、1280×800ドット程度は欲しい。

 だが、そこまでモバイル利用を真剣に考えず、デザイン性を重視するなら、1008KRはとても良い製品だ。デザイン重視でも、バッテリー持続時間やディスプレー端子に代表されるように、「必要な時にはどうとでもなる」設計が施されている。

 繰り返しになるが、ネットブックは「コスト重視」の市場だ。だから多くの製品は、デザインの良さを謳いつつも、どこか「安さ」「妥協」を感じさせるモノ作りになりがちだ。だが1008KRは、ディスプレー解像度とブランドシール以外は、とても配慮の行き届いた「こだわり」の見える製品に仕上がっている。こういう製品を低価格機種で市場に出せることが、現在のPC市場における「ASUSの強さ」なのだろう、と感じられる。


オススメする人
・デザインの良いネットブックが欲しい人
・「工夫」が目に見える製品が好きな人
Eee PC 1008KR の主な仕様
CPU Atom N450(1.66GHz)
メモリー 2GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 10.1型 1024×600ドット
ストレージ HDD 320GB
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1
インターフェース USB 2.0×、アナログRGB出力、10/100BASE-TX LANなど
サイズ 幅262×奥行き180×高さ18~26.2mm
質量 約1.1kg
バッテリー駆動時間 約5時間
OS Windows 7 Home Premium 32bit
価格 5万9800円

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング仕事術」「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)。


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