昨年末あたりから「ネットブックの退潮」がささやかれている。確かにCULVノートの登場やスレート型端末の方が話題に上りやすいし、ネットブックというジャンルが話題に上ることも少なくなった印象がある。ASUSTeKの「Eee PC 1008KR」(以下1008KR)は、そんな中に登場したネットブック。いかにも「デザイン重視」な外観だが、使って見ると意外や意外……な操作感だった。
デザインだけでなく操作性も良好!
写真でおわかりのように、1008KRは特殊な外観をしている。サイズ感そのものは、一般的なネットブックと大差ない。しかし、ラメ入り光沢の多い昨今のノートからは一線を画し、凹凸を生かしたテクスチャー感のあるボディは、一見してほか製品との違いを感じさせる。
今回試用した「マットコーヒーブラウン」モデルの場合、メタリックではあるがマットな仕上げで、感触もとてもいい。テクスチャー感や色合いは、このモデルでもちょっと好みが分かれそうではあるが、完成度は高い。
1008KRのデザインを担当したのは、工業デザイナーのカリム・ラシッド氏。「1008KR」の「KR」は、もちろん彼のイニシャルだ。家電や車など「パソコン好き」な人と親和性が高いジャンルではあまり耳にしないが、家具や文具、ファッションの世界では多くの実績を持つ。作品の多くはビビッドな印象の強いものなのだが、そちらは女性向けとされている「グロッシーホットピンク」の方で表現されている。
ネットブックは価格重視の過当競争市場であり、デザインをポイントにするのはわかりやすい戦略である。だが、1008KRを使ってみて感じたのは、「小手先感」がなく、しっかりデザインされているという印象だ。これはなかなかできるものではない。正直ここまでやったのであれば、OSやCPUなどのブランドシールも隠してほしかったところではある。購入者には可能な限り剥がしてもらいたいくらいだ(底面のOS証書などは、種々の理由からお勧めしかねるが…)。
パソコンはどうしても、端子類がむき出しになりやすい。特に低価格を宿命づけられたネットブックでは、なおさらである。1008KRでは、端子類を樹脂製のカバーで覆っており、表にはほとんど見えない。カバーは取り外し式ではなく、本体にしっかりくっついているのでなくならない。
バッテリーのカバーも、しっかりとした機構のものが使われている。バッテリーの取り外しも、ノートパソコンとしては意外なほど楽だ。この仕組みにはちょっと理由があるが、そこはあえて後述としておこう。
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