しかも、一部端子には「仕事」がしてある。イーサネット端子は「爪」の部分が広がるドアのような構造になっているし、ディスプレー端子にいたっては「外付け」だ。外付けといっても、単にアダプターが別途同梱されているのではなく、アダプターそのものが底面に収納できる、という仕組みとなっている。
これらはおそらく、美観と操作性を両立するための仕組みなのだろう。有線LANは抜き差しがしやすく、使っていないときにはデザインを乱さない。ディスプレー端子は内蔵なら忘れないし、その機構自体がとても楽しい。ネットブックのディスプレー端子はプレゼンに使われることが多く、常用するものというよりは「非常用」だ。ケーブルの接続性は必ずしも良くないが、非常用だと思えば気にならない。
本体を開いてみた時の印象もいい。キーボードは、もはや主流となりつつあるアイソレーションタイプ。タッチも良好な部類といっていい。カーソルキーがメインのキーに食い込んだ形でレイアウトされているので、慣れるまで少々タイプミスが起きやすいのが気になったが、少なくとも「安っぽいキーボード」という印象は持たない。
それより感心したのはタッチパッドの処理だ。パームレストとは完全に「ツライチ」で仕上げられている。ただし、タッチパッドとして働く部分だけは細かい突起をつけてあり、感触でわかる。サイズの小さなネットブックなので、面積そのものはさほど広くない。しかし、段差がなく横幅が広めなので、操作感はかなりいい。
マルチタッチにも対応しており、2本指でのスクロールなどもできる。機能そのものは特別なものではないが、ソフトウエアを含めた調整がうまいのか、マルチタッチの操作性は悪くない。ちょっとボタンの上下が狭く、慣れが必要な印象だが、それ以外は好印象だ。
OSはWindows 7 Home Premium
性能は低いが発熱も感じにくい
搭載CPUは、現在のネットブックでは標準となりつつあるAtom N450(1.66GHz)。2010年になって登場した、GPU内蔵型の新プラットフォームである。Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「2.0」。Atomであることに変わりはないので、トップパフォーマンスはやはり「そこそこ」。GPU性能が若干底上げされたので、Windows Aeroを利用するには問題ないが、ネットブッククラスを超えるものではない。
ただし、従来のネットブックと違う点は、OSに安価な「Windows 7 Starter」ではなく、「Windows 7 Home Premium」が使われていることだ。だからAeroも動くし、壁紙も変えられる。また、HDDも320GBと容量が多い。メモリーも、Windows 7を使うには「最低限」といえる2GBだ。
ネットブックらしい「制約」と言えば、CPUがAtomであることと、ディスプレーが1024×600ドットと狭いところになる。残念ながら、すべての面で「普通のパソコン並み」とはいかないが、価格5万9800円で、重さ約1.1kgという商品性を考えると、「まあしょうがないか」と割り切れる。
ただし、発熱の少なさを含めた、全体の作りはかなり良好だ。フルパワーで動くと、やはり本体左底面がほんのりと熱くなるが、凹凸の多いデザインが幸いしてか、あまり不快に感じない。またアイドル時の発熱は、従来のAtom N系の製品に比べ減っているようで、トータルでの効率は上がっていると考えてよさそうだ。
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