このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第8回

意外に有望なものになっている、イマドキの3Dインターネット

セカンドライフは終わったのか?

2010年04月02日 09時00分更新

文● 大河原克行

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

英会話教室に行く女性は、服装を気にせず済むという声も

 3つめは「リアルに学べるeラーニング」である。

 すでにNTTは、アルクと協業して、バーチャル英会話教室を試験的に展開している。

 アバターを利用して教室に参加。シーンを想定したレッスンでは、背景を教室の様子から、実際のシーンへと変えて、そこで会話の練習をするといった使い方も可能だ。ホテルのチェックインのレッスンでは、背景をホテルのチェックインカウンターとして学習するという格好だ。

 アルクでは、2010年1月から2月にかけて、約40人を対象にバーチャル英会話教室を試験的に実施。「初級、中級者向けに、リアルな英会話スクールが持つ対面の臨場感があるリアルの強みと、オンライン英会話スクールの特徴である通学不要、匿名性、低コストという強みを生かした学習環境が実現できた」という。

単に発音やダイアログを覚えるだけでなく、ジェスチャーのようなノンバーバルコミュニケーションも学べる

 実際、受講者のアンケートでは、通学が不要であるといったメリットのほか、女性の間からは、化粧をしなくてもいい、身だしなみを整えなくてもいいという利便性や、匿名性による気軽なレッスンを受けられることなどがメリットとしてあげられたという。

 「日本人は人前で英語を話すことが苦手といわれるが、3Dインターネットではアバターとなることで、そうした課題も解決できる。匿名性が織りなす活気のあるクラス展開が可能となっている。また、当初は、画面上の背景を変えるだけでどれだけ効果があるのかといった見方もあったが、実際に活用してみると、かなり気分が変わるものであり、受講者の間からも、3Dインターネットならではの多様なシチュエーションを活用したレッスンを設計してほしいという声が多数あがった。臨場感と没入感を持った学習が可能になった」という。

 ただ、その一方で、「もっとユーザーインタフェースの改善してほしい」、「音声品質をさらに向上してほしい」という声もあがったという。

 NTTでは、3Dインターネットの活用は、教育分野をはじめ、様々な領域で期待できるとしている。

 「ゲームを活用したラーニング、悩みカウンセリング、遠隔地の講師を結んだ教育、複数の学校をまたがった教育なども期待している。引き続き、パートナーとの協業により、活用範囲を広げていきたい」とする。

 このように、3Dインターネットは着実に活用範囲を広げているのである。

 マスコミ報道が一段落した時ほど、実用化の段階に移行していることの証といえそうだ。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ