ハード・ネットワークがソフトに追いついた
内田洋行では、とくに、セカンドライフ上での教育の可能性を模索。独自に3Di研究会を設置して、100を超える教育関係者が参加。実証実験などの活動も開始している。さらにセカンドライフ内に、「UCHIDA EDUCATION 島」と呼ばれる区画を用意。これを教育機関や企業などに開放して、3Dインターネットの研究活動を行えるようにしている。
一方NTTでも、ビジネスシーンでの活用などを視野に入れた形で、3Dインターネットに力を注いでいる。
3Dinternet Education Summit 2010で、「3Dインターネット分野におけるNTTの取り組み」をテーマにして講演したNTT 新ビジネス推進室の高屋洋一郎氏は、同社の取り組みについて次のように説明する。
「NTTが設置している新ビジネス推進室は、3Dインターネットプラットフォームを活用した新たなサービスの創出に取り組んでいる部門。様々な企業との連携を通じて、ネットワーク上での新たなサービスの創造に向けて取り組んでいる。NTTは、3Dインターネットプラットフォーム開発企業である3Diや、その親会社であるngi groupに出資。英会話教室の展開を行っているアルクとの協業による3Dインターネットを活用したバーチャル英会話スクールの事業化に向けた取り組みや、ネットスクール向けプラットフォームの運営会社であるNTTナレッジ・スクウェアを、デジタル・ナレッジとの合弁で設立するといった取り組みも行っている」。
NTTでは、3Di OpenSimによって、ブラウザーによる3Dインターネットの利用が可能になり、企業が自社ウェブサイトの一部として3Dインターネットを活用することが現実的になるとする。
「100年間続いてきた電話による通信の世界が、IPネットワークの登場によって大きく変化している。さらに、ブロードバンド、ウェブ2.0、動画といった動きがウェブの行動を変え、利用時間を増やす要因となっている。それが昨今では、定額制光プロードバンドの普及に伴い、次なる要因が生まれつつある。その要因ともなるのが、Twitterの登場による手軽にモバイル環境で利用するという動きや、それと対極ともいえる3Dインターネットによるリッチなアプリケーション利用になるのではないか」と高屋氏は指摘する。
高屋氏が今後の3Dインターネットの普及に期待するのは、これまではウェブと3Dインターネットが独立した形で運営されていたため、訪問者が少なく、広告効果が低下し、店舗が撤退するというサイクルに陥っていたのに対して、新たな3Dインターネット環境では、既存ウェブとの融合により、サービス提供者はバリューを直接かつ効果的にユーザーに提供できるようになるという点だ。
「これまでの3Dインターネットでは、PCに高いスペックを要求することや、システムが不安定であり、落ちること、さらには、企業のファイヤーウォールを越えられないといった課題や、初回のダウンロードに時間がかかりすぎるという問題があった。だが、3Di OpenSimではこうした問題が解決されるばかりでなく、既存ウェブサイトとの連携により、サイト訪問ユーザーをシームレスに3Dインターネット空間に誘導できたり、リッチでリアルタイムなコミュニケーションが可能というメリットは大きい」とする。
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