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リンデン・ラボ訪問記

社内にはビリヤード場、「週に1度はセカンドライフ」が社則

2007年04月29日 00時00分更新

文● 遠竹智寿子

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リンデン本社


 日本でも最近急速にテレビや雑誌で取り上げられるようになった“Second Life”(セカンドライフ)。その運営母体である“Linden Lab”(リンデン・ラボ)の名をちらほらと耳にすることがあるだろう。米国のサンフランシスコに拠点を置く同社を訪ねた。



バーチャルワールド誕生のきっかけとなった“1冊のSF小説”


 急な訪問にも関わらず、本社訪問と取材に快く応じてくれたのは、マーケティングディレクターでPR担当のキャサリン・スミス氏だ。彼女にセカンドライフがブレイクしたこれまでの経緯や日本ユーザが待ち望む日本語版のことなど、いくつかの質問事項を投げかけてみた。

キャサリンさん

「アバターの写真ならOKよ(笑)」とキャサリン。リンデン社員の名刺の裏には、みんなアバターの写真が入っている。

――アメリカでブレイクしたきっかけは?

キャサリン 大きなきっかけとなったのは、昨年5月に『BusinessWeek』誌でAnshe Chung*のサクセスストーリーが取り上げられたことに始まります。その後、マスメディアがこぞってセカンドライフを取り上げ、企業も参入しだすようになりました。これにより、2006年1月には10万程度だったセカンドライフ内の人口(レジデンス数)が、2006年10月には100万人を突破してしまいました。今年に入ってもその勢いはとまらず、現在ではすでに550万人*という驚くべき数字の伸びを見せてくれています。

*“Anshe Chung”はSecond Lifeのアバターで、Second Life内の土地取引で、巨万の富を築いたことがメディアで広く取り上げられた。

*これは取材時点の数字で、原稿を執筆している27日現在では、590万弱のレジデント数がカウントされている。

――それ以前の経緯について教えてください。

キャサリン リンデン・ラボは、CEOであるフィリップ・ローズデールが、1999年に設立しました。彼は長年ストリーミング事業に携わってきました。米FreeView社を設立後、米Real Networks社に売却し、同社のCTOに就任したというバックグラウンドがあります。リンデン設立後、以前から持ち続けていた“仮想空間”のアイディアを実現しようと、知り合いのエンジニアなどを集めて研究を始めました。その後、2002年にセカンドライフのテスト版が完成。2003年にβ版が公開されました。その間に米Lotus Development社の創設者であるミッチ・ケイパーとの出会いがあり、フィリップのアイディアに大変興味を覚えたケイパーが投資したという経緯もあります。彼は、2003年4月にリンデン・ラボの会長に就任しています。

 ここで若干、説明を加えておく。ローズデール氏の仮想空間への構想のもとには『スノウ・クラッシュ』(ニール・スティーヴンスン著)というSF小説がある。ローズデール氏は同社設立の数年前に、妻に薦められて読んだこの小説に触発され、リアルとリンクした形で繰り広げられる仮想世界の立ち上げを考えるようになったと聞く。

 話が長くなるので、詳細は省くが、日本語の翻訳が早川書房から出ているので興味がある方は手にしていただきたい。セカンドライフの着想が、ゲームとは根本的に異なることが理解できるはずだ。

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