Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「3.0」と決して高くない。CPUの値も「5.1」だ。この値は、本連載で扱った「Let'snote S8」(Core 2 Duo P8700 2.53GHz)より劣る。S8は通常電圧版のCPUであり、クロックも2.53GHzと高いものだから、いかに一世代古い製品とはいえ、スコアが違うのも当然といえる。だがすでに述べたような理由から、実利用時の「軽さ」は、このスコアの違いほどもなく、同等以上のものと感じた。
バッテリー駆動時間は短くなったが発熱は気にならず
他方で気になるのは、「発熱」と「バッテリー駆動時間」だ。クロックを大胆に上げながら動作するCPUだけに、発熱傾向については各社から「厳しい」との声が聞かれる。
今回も放射温度計を使って各部の温度を計測してみた。結果は表のとおりだ。
負荷が高い時には、やはりそれなりの発熱がある。だが放熱口の近く以外では、意外なほど熱を感じない。放熱口は本体左奥にあり、机の上でパソコンを使っている場合には、その部分を直接触ることはない。膝の上で使う場合にはそれなりの熱さになるが。
ファンもそこそこの頻度で回る印象だが、それが不快に感じられることはないだろう。高発熱のCPUをスポイルすることなく利用する設計という点で、パナソニックはかなりの経験を積んでいる。新CPUとはいえ、そのあたりの経験はかなり生きている、という印象を受ける。
バッテリー駆動時間は、残念ながら短くなっている。スペック上で約7.5時間(JEITA測定法1.0)。R8が約8時間であったことに比べると下がっている。「BBench」によるベンチマークテストを行なってみても、比較的負荷の高い設定で2時間強、省電力設定で4時間弱、というところで、やはり長くはない。とはいえ、1kg以下の標準バッテリー搭載で、通信をしながらこれだけの結果ならば、十分に満足できる値と考えるべきだろう。
ただ、以前の機種に比べて、設定によって駆動時間が大きく変わる印象を受けた。ターボ・ブーストの効果に加え、さまざまなデバイスを搭載した高機能ノートであるだけに、細かな設定が有効ということなのだろう。
R9に限ったことではないが、レッツノートシリーズは省電力設定ユーティリティの出来が非常にいい。多くの場合、最初から用意されているいくつかのプリセット設定に手を加えるだけで、自分が満足できる設定を見つられるだろう。
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