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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第43回

Core i7で快適になったLet'snote R9に見る次の課題

2010年03月11日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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CPUが変わっても「変わらない」価値をどう見る?

 ボディーの構造などにも触れておこう。正直に言えば、新CPU搭載であるにもかかわらず、R9にはほとんど「新鮮さ」を感じない。旧機種からデザイン・構造を引きついでおり、印象もほとんど同じであるからだ。だが、ボディー剛性の高さや軽さなど、Rシリーズにしかないすばらしさを感じる。PCカードスロットがあること、vPro対応であることなど、業務で使うには安心できる構成だ。

本体前面

本体前面。左からインジケーターランプ、SDメモリーカードスロット、オーディオ入出力、無線LANスイッチ。ディスプレー部の「リブ」がうまく収納されるデザインで、いかにも剛性がありそうだ

本体左側面

本体左側面。左から電源コネクター、アナログRGB出力、拡張端子(法人向けモデル限定)、PCカードスロット。むき出しでいかにも無骨だが、実用性は高い

本体右側面

本体右側面。左からUSB×2、モデム、LAN。USBは左右に分かれていた方が使いやすかったかも知れない

天板はレッツノート伝統の「ボンネット構造」

天板はレッツノート伝統の「ボンネット構造」。都会の殺人的なラッシュに耐えるには、やはりこの構造の持つ信頼感が重要。仕事の機械ならではの良さを感じる

 一方で、現在のPCシーンから見ると「古い」と感じる部分も多い。特に気になるのは、キーが薄く、ペタペタとした打ち心地であること、タッチパッドが小さく、操作がしづらいことだ。

 円形のホイールパッドはレッツノートのアイデンティティーではあるのだが、サイズの小さなRシリーズでは、そろそろ使いづらさの方が先に立つ印象を受ける。以前と違ってキーの底の剛性が上がっているため、キーも極端に打ちづらいとは思わないが、それでも、キートップが薄くてグラグラする構造は、そろそろ見直す時期に来ていると感じる。

円形のタッチパッド

円形のタッチパッド。スクロールの使いやすさなど利点も多いが、実質的な操作エリアが狭く、R9のサイズに搭載するのは疑問を感じる

R8世代から変わらないキーボード

キータッチ・レイアウト・サイズともに、R8世代から変わらないキーボード。ペタペタとクセのある感触なので、そろそろ抜本的な改革が必要と感じる

 ディスプレーの品質は、以前に比べるとずいぶんよくなっており、発色も悪くない。まだ多少、周辺部に光むらを感じる部分もあるが、価格性能比で考えればこんなものだろう。それよりも、1024×768ドットというディスプレーのサイズが、Windows 7向けノートとしてはもはや不自然に感じ始めている。すべての局面でワイドが有利なわけではないが、ワイド画面を前提に開発されているWindows 7においては、どうも横方向の狭さが気になる。

 そろそろ、「Rシリーズもワイド化し、フルリニューアルすべきではないか」、と感じるのは筆者だけだろうか。新CPUが生み出す「速度・快適さのドキドキ感」を、外観でも生み出すべき時期だと感じる。


オススメする人
・快適な動作と軽さが両立している製品を求める人
・レッツノートの「信頼感」を重視する人
Let'snote R9 の主な仕様
CPU Core i7-620UM(1.06GHz)
メモリー 2GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 10.4型 1024×768ドット
ストレージ HDD 250GB
無線通信機能 IEEE 802.11a/b/g/n
インターフェース USB 2.0×2、アナログRGB出力、10/100BASE-TX LANなど
サイズ 幅229×奥行き187×高さ29.4~42.5mm
質量 約0.93kg
バッテリー駆動時間 約7.5時間
OS Windows 7 Professional 32bit/64bitセレクタブル
価格 オープンプライス(予想実売価格 17万5000円前後)

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」「クラウド・コンピューティング仕事術」「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)。


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