日本ネティーザは、2010年度の戦略説明会を開催した。そこでは、同社の事業戦略が語られるとともに、2月に発表されたエントリーレベルの「Netezza Skimmer」や、高度分析のための「TwinFin i-Class」といった新製品とそれに付随する技術が紹介された。
2001年に米国で設立され、日本では2005年から活動を開始したネティーザは、一貫してDWHアプライアンスを提供してきた。その製品が特徴とするところは、ハードウェアに標準技術を採用しつつ、FPGAを使った高速処理を実現したことと、DWH構築に手間をかけずにすむ“簡易性”だ。壇上に立った日本ネティーザ 代表取締役 ダグラス・エッツェル氏は、近年ではBI市場に参入している競合他社もアプライアンス製品の提供を始めたことを挙げ、今やBI案件においてはDWHアプライアンスが選択肢の主流になってきた、と現状認識を語った。
エッツェル氏はまた、ネティーザ製品は最初からDWHに特化して開発されているのに比べ、他社製品はもともとのOLTPに手を加えたものであるといった相違点を述べ、ネティーザの優位性を語った。他社製品の場合は、インデックスやパーティショニングなどでチューニングを施せば高速化するかもしれないが、結果手間がかかり“簡易性”が損なわれるというわけだ。ネティーザは従来製品を持っていなかったことで、しがらみがなくDWHアプライアンスをゼロから作れた。これが、現在の優位性につながっているのだと、エッツェル氏は言う。
2010年度、ネティーザはDWH市場に対してどのようにアプローチしていくのか? これには、
- 顧客ベースの拡張
- 製品ライン強化
- パートナーシップ強化
という3つの柱が紹介された。顧客ベースの拡張という課題は、既存の顧客の中で、よりネティーザ製品を拡張していくことと、今後広がるであろうDWH市場に向けて、初めてDWHを検討する顧客の両方を取り込んでいこうというものだ。特に後者に対しては、製品ラインの強化として、エントリーレベルの「Netezza Skimmer」の投入で、すでに対応を始めている。
小さく、速く、より大容量に
広がるTwinFinのラインナップ
Netezza Skimmerは、ラックまるごと提供される今までのネティーザ製品とは違い、ブレード1シャーシ、7UサイズのDWHアプライアンスである。実際、設置する際には顧客企業のラックに取り付けての仕様となる。ネティーザではこれをエントリーモデルと位置づけ、部門での使用や開発環境としての使用を想定している。容量は最大10TBで、拡張が必要になった場合には、エンタープライズ向けの製品「Netezza TwinFin」と組み合わせることで対応できるとしている。この場合、Netezza TwinFinはハブ&スポーク型DWHにおけるエッジサーバーとなる。
予定されているネティーザの新製品は、Netezza Skimmerだけではない。今後は、最大20ラック構成で、将来的には20PBまで拡張が可能になる「大容量アプライアンス」と、最大10ラック構成で1TB以上のメモリを備えた「超高速アプライアンス」が予定されている。
製品機能の強化
高度分析のための「TwinFin“i-Class”」
ネティーザでは、製品の機能強化も予定されている。「TwinFin“i-Class”」と呼ばれるものがそれで、巨大データに対して高度分析を実施することが、その主眼だ。これは単体製品というよりはNetezza TwinFinのソフトウェア拡張オプションという位置づけで、TwinFinの中にモデリングやアナリティクスグリッドを格納し、従来TwinFin外部で行なっていたこれらの作業を高速化させようというものだ。
このほかパートナーシップに関しては、2月に発表されたNECとの共同開発についても言及された。この新製品は、NECのブレードサーバーやストレージをハードウェアとして使用するだけではなく、NECのDWHやBIのノウハウ、DB Acceleratorと、日本ネティーザの技術力(ソフトウェア)を生かした製品だという。また、NECブランドで展開されるため、NECの販売力やサポート力も強力な武器となる。日米のみならず、中国や台湾、欧州といった市場に対しても、NECの力でネティーザのテクノロジーが根付いていくというわけだ。
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記者団に、代表的なメーカー各社がDWHアプライアンスを準備し終えた現在の状況について尋ねられたエッツェル氏は、「マーケットが面白くなってきた」と語る。顧客企業がDWHを検討する際に検証を行なうわけだが、ここ最近は、ネティーザ製品に関しては「持ってきてくれ」と言われることが多いそうだ。「これは我々の簡易性を理解してもらうチャンスだ。他社のアプライアンスは驚異ではあるが、簡易性で自信を持っている」(エッツェル氏)。