本物と同じドローバーの音作りが楽しめる
――まず「C3B3」というソフトの名前は何に由来していますか?
山崎 ハモンドの型番ですね。本当にたくさんの種類があるんですけど、その中でも「B-3」がジャズ、「C-3」がロックの人に人気があったんです。どちらも中身の構造は同じなので、一緒でいいかと。「HAMMOND」の商標権は鈴木楽器が持っているんですが、やっぱり使用許可は出なかったので。
――「マネトロン」はサンプリング音源でしたが、今回はリアルタイム合成なんですよね?
山崎 最初はサンプリングでやろうと思ったんです。それで本物のハモンドを鳴らしてレコーディングしてみたんだけど、アンプを通さないラインの音は意外とショボかったんですね。なんかピーピー鳴ってるだけだし、ノイズは乗ってるし。だったらiPhoneなら正弦波出せるし、それでオルガンの音は作れるんじゃないかと。
――それで笠谷さんに話が振られたと。ハモンドの正弦波合成ってどんな仕組みなんですか?
笠谷 「トーンホイール」という、波の形が刻んである歯車みたいなものが何枚もあって、モーターで回っているんです。その歯車の回転の周囲に発生する磁界をエレキギターのようなピックアップで拾うんですね。それで正弦波に近い信号を取り出しているわけです。
――そんなメカニカルな仕組みだったとは! 昔の楽器って面白いですね。
山崎 1974年までのモデルがそうだったんですね。電源を入れた直後はモーターの回転が上がらないので、別にもう一つセルモーターのようなものが付いていて、それで回転を引っ張り上げる仕組みもあったり。
――そのモーターのシミュレートはしていないんですか?
山崎 だってすぐ音が出た方がいいじゃないですか。
――Manetronだってモーター音やらテープの巻き戻し音やら入ってるじゃないですか。そういう儀式があっても面白かったかも。
山崎 ではご意見として伺っておきます。