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賢い企業PCの選び方

Vostro V13はスマッシュヒット、SMBに注力するデル (2/3)

2010年01月21日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部、写真●篠原孝志、曾根田 元

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LatitudeとVostro

 このように同じ法人向けPCでも、Latitudeが想定する大企業とVostroが想定する中堅・中小企業ではPCに求めるニーズが異なってくる。2つのブランドはこの異なるニーズの差を意識して、製品コンセプトを煮詰めていく。

LatitudeシリーズとVostroシリーズのコンセプトの違い

 例えば、Latitudeの特徴のひとつに継続性のあるロードマップが挙げられる。デルはLatitudeのユーザーに対して、製品ロードマップを開示しており、通常は15ヵ月、最低でも1年は同じラインアップを継続して販売すると約束している。新製品にモデルチェンジする際にも30~90日程度の併売期間を設ける。これにより大企業の購買計画が立てやすくなり、アプリケーション検証や保守部品の確保の余裕も持てる。ACアダプターなどの周辺機器もシリーズ内で互換性を持つよう配慮されており、資産の有効活用が可能だ。

 3年間の長期保証や、落下/浸水時の故障も保証するコンプリートケアといったサポートも充実している。パーツ選定も安定性を重視。各種セキュリティー機能の搭載や多様なブートに対応したBIOSなど、運用管理性の高さも狙う。OSイメージもカスタマイズ可能(CFI:Customer Factory Integration)で、プリンタードライバーやOSのパッチ、業務アプリケーションなどがすべてインストールされた状態で納品してもらえる。初期設定という管理者の負荷が大きく減らせるわけだ。

 一方、Vostroは、最新のスペックをなるべく安価に提供することに主眼が置かれている。本体価格を低くするために、標準状態では追加ソフトは極力省き、セキュリティー機能も最低限、BIOSもシンプルなものを採用する。製品保証は1年のみで、必要に応じてオプションを選択するというものだ。サポート内容も実際に使うエンドユーザーをターゲットにしたもので、365日24時間フルタイムのプロフェッショナルサポートを提供する。また、即納モデルなど、買いたい時にすぐ届く点を重視している。

 複雑なPCの管理は必要ではないユーザー、事業を開始したばかりの企業でも数台から導入できる気軽さなどが売りとなっている。

ITの専門家とそうでない人で異なるサポートを

 Vostroシリーズでは、専任のIT管理者を置かない企業に向けて「エンドユーザー・プロサポート」が用意されている。1年間の引き取り修理に加え、デル上級エンジニアによる、ハードウェアに関する問い合わせ/回答に加え、アプリケーションの使用方法も教えてもらえるというもの。

 受付時間も24時間365日となっており、サードパーティ製アプリケーションの使い方に関しても一般的なものであれば答えてもらえる(サードパーティベンダとのコラボラティブ・サポート)。

 一方、IT管理者がいる大企業に対しては、IT管理者向けのサポートを用意。環境に応じてサポート内容もカスタマイズできる点がデルの企業向けPCの特徴といえる。


SMB市場にインパクトを与える、Vostro V13とは?

 以上のような特徴を持つLatitue/Vostro製品だが、この冬、Vostroシリーズに新製品「Vostro V13」(関連記事)が登場した。SMB市場に真剣に取り組むというデルの意気込みが伝わる魅力的な新製品である。

アルミニウム合金を利用した本体は、質感も高く、剛性の面でも信頼感がある

 Vostroシリーズは、これまで個人向けのInspironをベースに開発されたものが多かったが、Vostro V13は完全に新規に開発された製品だ。ボディーは厚さ16.5~19.7mmと最も厚い部分でも2cmを切る薄さ。高い質感の金属筺体に、ULVプロセッサーを内蔵。CPUにはCore 2 Solo SU3500(1.40GHz)/Celeron 743(1.3GHz)を搭載する。 十分なスペックを備えたモバイルノートでありながら、非常に安価に抑えられている(製品サイト)。

携帯性は高いが、ゆとりのあるキーボードを搭載するなど、高い操作性にも配慮している

 2GBメモリー、250/320GBのHDD、13インチ/1366×768ドット(LEDバックライト)のディスプレーやフルサイズのキーボードを備え、重量は1.59kg。OSはWindows Vista Home BasicまたはWindows 7 Professionalが選べる。

本体は非常に薄型だ。厚さは20mmを切り、左右の角は落とされているが全体に非常にフラットだ

端子の多くは、背面に集中している。ディスプレーケーブルが真後ろに付いているため、使いやすいのではないか

 つや消しアルミボディーに亜鉛強化されたヒンジの堅牢性は非常に高く、質感も上々。性能だけでなく所有感も満足させる。法人導入はもちろんだが、ビジネスマンが個人で購入するにも適した製品と言える。

 また、オンライン型のバックアップサービス「DataSafe オンライン」の領域2GBぶんも無償で利用可能。DataSafe オンラインは、PC内の重要ファイルなどを、オンラインストレージに保存できるバックアップサービスで、バックアップ機能のほかアップロードしたデータを他のユーザーに共有する機能も持っている。標準では2GBだが、有償で10~100GBまで容量を増やすことができる。料金はサブスクリプション方式となっており、10GBで年額2310円、100GBでは年額6930円となる。

 ハードウェアの魅力もさることながら、SMBのニーズを存分にくみ取った製品コンセプトが魅力的だ。

DataSafe オンラインとは?

 中堅・中小企業といっても、発注書や顧客データなど、守らなければならない重要なデータが数多く存在するのは確か。しかし、大企業とは異なり、その管理は個人に任されているケースも多く、ハードウェアの障害や人為的なミスなどで消失する危険にさらされている。

 そんなニーズを汲み取ってデルが提供しているのがDataSafe オンラインのサービスだ。インターネット経由で外部のデータセンターに保管し、必要に応じてバックアップ/リストアできるようにする。データはバックアップ前に暗号化されるので、安全性にも配慮されている。データには固有のユーザー名とパスワードを入力すれば、どのマシンからでもアクセスできるので、クラウド的な集中管理が可能。利便性も高い。差分だけを保存するので、負荷が低く、ネットからの切断などで、中断された場合でも中断された箇所から再開できる。

 利用できるのは、Vostro V13などVostroシリーズの一部機種。価格も安価に抑えられており、2GBまでは無料。有償となるが、容量を10GB、50GB、100GBと増やすこともできる。

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