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賢い企業PCの選び方

Vostro V13はスマッシュヒット、SMBに注力するデル (3/3)

2010年01月21日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部、写真●篠原孝志、曾根田 元

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製品担当者に聞く、デルのビジネスノート戦略

 最後にデルで、Vostro製品のブランド戦略を担当する伊田聡輔氏に、Vostro V13とこれからのSMB市場戦略について聞いた。

── Vostroシリーズの魅力は何でしょうか?

伊田聡輔氏

伊田 「Vostro」シリーズに関しては、最新のテクノロジーをなるべく早く取り入れることを重視しています。新しい世代のCPUが出ればいち早く対応し、メモリーの規格がDDR2からDDR3に変われば採用するといった形です。VostroシリーズとLatitudeシリーズの大きな違いのひとつにLEDバックライトの搭載/非搭載がありましたが、Vostro V13ではLEDバックライトを新規に採用しています。ULV(超低電圧版)のCPUを実装することによって、より少ないエネルギー消費で使えるノートを目指しています」

── コンサバな仕様が多いビジネスノートの中で、Vostro V13は異彩を放っているというか、とんがったコンセプトを持っているという印象です。

伊田 「とんがっているというのはその通りですね。(開発側としても)次世代のVostroが出たというか、SMBに対して初めて真剣に向き合った製品と言う自負を持っています。性能・価格・使い勝手のすべてを重視していますし、従来プラスチック製だった筺体もアルミニウムに変更し、堅牢性とデザインにこだわっています。持ち運んで使うことを強く意識しており、ACアダプターも小型にしました。最薄部は16.5mmですが、この薄さを実現するために、バッテリーも内蔵型です」

── 12月に製品が発売されましたが、ユーザーの反応はどうですか?

伊田 「(少し考えて)反響はいいですね。どう表現していいか難しいのですが、スマッシュヒット的な手ごたえを感じています。従来のVostroシリーズは、デスクトップ代替機が売れ筋で、15~17インチの製品を中心に動いていました。12~13インチの法人向けノートが売れるというのは非常に珍しいことなんです」

── 普段ビジネスでPCを使用しているユーザーが、個人でも購入できます。使いたいと感じさせるノートだと思います。

クライアントPCはお客様とデルを結ぶ窓口だという

伊田 「デルは製品を開発するうえで、お客様と向き合うことを大切にしています。店頭で在庫を持ってもらう販売形式とは異なり、これはダイレクト直販の強みと言える部分かもしれませんが、BTOで出荷された製品には固有のサービスナンバー(7桁)が付けられており、そのパソコンがどのようなスペックで、どのお客さまに出荷されたかが把握できるようになっています。こういった情報はサポートに生かすこともできます。CEOのマイケル・デルも、常々クライアントPCはデルとお客様を結ぶ窓口だと言っています」

── サポート面で重視しているサービスはありますか?

伊田 「オプションサービスとして、プロフェッショナルサポートを用意しています。端的に言うと、ヘルプデスクをデルが代行するもので、ハードウェアの使い方だけではなく、標準で入っているOfficeやAcrobat Readerといったソフトの使い方も解説するVostro向けのサービスです。24時間365日対応するので、自社でヘルプデスクを持つ余裕がないSMBのお客さまに対しても有益です」

── VostroとLatitudeではサポートに対するコンセプトも異なると聞きました。

伊田 「Latitudeは、IT部門向けのプロフェッショナルサポートを用意しています。Latitudeは保証期間も3年と長い。Vostroは、サポートよりもまずは最新テクノロジーを安く提供するという考えで、1年間の製品引取りサポートとなっています。製品ごとにサポートの基本姿勢も変えていくことでブランドの方向感を明確にしています」

── 価格が低ければ、浮いたお金を必要な部分に割り当てられますから、SMBではうれしい配慮と言えそうですね。

伊田 「サービスと言う面では、Data Safeオンラインというサービスを始めました。2GBのデータを無償で暗号化して保存できるというもので、クラウドというか集中管理のトレンドにもマッチすると思います。一定規模の会社であれば、自社のストレージを使って提供できると思いますが、中堅/中小企業ではそこまで手が回らない。ハードベンダーであるデルがバックアップもとってくれるというのは(単に製品を売るだけではなくソリューションとして提供するという意味で)面白いサービスだと思います」

Windows 7や最新のCPUにも積極的に取り組んでいく

── Windows 7は追い風になっていますか?

伊田 「企業ではいまだに、Windows XPを求める声が強いですが、検証導入のためにWindows 7を入れたいという話も聞くようになっています。IT業界としては歓迎すべきことでしょう。マイクロソフトはWindows 7でパートナーの声をしっかり聞いたとアピールしています。つまり、開発段階からデルの意見も取り入れてくれたという意味です。その意味では市場に出る前からWindows 7導入への準備は完了していたとも言えます」

── 64bit対応や新しいCPUの搭載などについてはどうお考えでしょうか?

伊田 「Vostroは当面32bit対応のみで進めますが、Latitudeは両方選べるようになります。デルとしてはお客様のニーズに応えたい。これがBTOメーカーとしての回答になりますね。デルはユーザーのニーズに分けてブランドを細かく分けています。個人も含めて5つのラインアップを管理するのは大切だが、コストもかかることです。SMBのマーケットに積極的に取り組んでいることは強調したいと思います。2010年はWindows 7のSP1やCore i7などトピックスも多そうですが、積極的に取り組んでいきたいと思います」

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