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あなたの知らないWindows 第15回

Windows 7の目立たぬ新機能 センサー機能とは何か?

2009年11月12日 12時00分更新

文● 山本雅史

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コントロールパネルの一角にある「位置センサーとその他のセンサー」

コントロールパネルの一角にある「位置センサーとその他のセンサー」(赤枠内)。どのような機能が使えるようになるのか?

 Windows 7のパッケージ版が販売され、多くのユーザーがWindows 7をインストールして使い始めているだろう。Windows 7は既存のパソコンで利用しても、さまざまなメリットがある。しかし、Windows 7ならではのセンサー機能を使用しているパソコンはほとんどない。今後は、センサー機能を利用した製品が登場してくるだろうが、今回はそれらに先立ち、Windows 7のセンサー機能を紹介しよう。

OS側に用意されたSensor APIとLocation API

 Windows 7には、明暗などを感じるセンサーを扱うためのSensor APIや、GPSによる位置情報を扱うLocation APIが用意されている。OS自体がSensor APIやLocation APIを搭載することで、各種センサーやGPSを利用したアプリケーションが開発しやすくなる。

Windows 7にはセンサー用のSensor APIが標準で搭載されている

Windows 7にはセンサー用のSensor APIが標準で搭載されている(WinHEC 2008資料より引用、以下同)

位置情報用のLocation APIもある

同じく位置情報用のLocation APIもある。データは、センサー用APIを経由して、アプリケーションに伝えられる。GPSなどのデータを使えば、ガジェットなどにも利用できる

 Windows VistaやXPなどでも、独自にセンサーを利用するアプリケーションを作ることはできた。例えば内蔵GPSやHDD内蔵の加速度センサーは、さまざまなノートパソコンで利用されている。しかし、これらはそのセンサー専用になるため、特定のアプリケーションでしか利用できなかった。つまりセンサーについての標準化がなされていなかったわけだ。

 しかし、Windows 7でSensor APIやLocation APIが導入されたことで、デバイスドライバーの標準化が行なわれ、各種のセンサーやロケーションデバイスからの情報を、アプリケーションから利用できるようになった。つまり、USBのように、センサーや位置情報に関係するデバイスを規定することで、アプリケーションからそのデータを簡単に扱える。

 現在販売されているパソコンには、Windows 7に対応したセンサーデバイスやロケーションデバイスはほとんど採用されていない。そこで、2008年に開かれたマイクロソフトの開発者向け国際会議「PDC08」で配布されていた開発用キットを使って、何ができるのかを解説しよう。

 この開発キットには、3軸加速度センサー、静電容量式タッチセンサー、光センサーなどが組み込まれている。開発キットとパソコンは、USBで接続される。開発キットにはハードだけでなく、これらの機能を使用するためのデバイスドライバーやサンプルソフトなども入っている。

PDC08で配布された、Freescale社のチップを使った開発キット

PDC08で配布された、Freescale社のチップを使った開発キット。センサー類のチップは非常に安いので、ノートパソコンに採用されても、それほど価格は上がらないと思われる

 例えば光センサーを用いたアプリケーションとしては、「msdn Reader」というソフトがある。このソフトは、マイクロソフトの開発者向けのウェブサイト「msdn」の情報が一覧できるのだが、光センサーと組み合わせることで、検知する明るさによって、表示する文字を自動的に拡大縮小できる。

Windows 7には、光センサーを使った自動ブライトネスコントロールの機能が用意されている

Windows 7には、光センサーを使った自動ブライトネスコントロールの機能が用意されている。OS側で多くのコンポーネントが用意されているので、開発は楽になる

 機能だけを説明するとたいしたことがなさそうに思うが、例えばこういう場面で役立つ。屋外の太陽光の下でノートパソコンを使うと、反射で細かい文字が見えづらいことがある。そうした場合、光センサーが周囲の明るさを検知して、自動的に文字の大きさを変えて見やすくしてくれる、という処理が可能になる。もちろん、光センサーは、ダイナミックに動作しているため、光量の変化によって文字サイズもダイナミックに変わる。

文字サイズや明るさを動的に変更した液晶画面の例

文字サイズや明るさを動的に変更した液晶画面の例。ちょっと見づらいが光センサーによって、左と右では文字の大きさや色なども変わっている

 また別の例では、液晶画面のバックライトやコントラストを光センサーからの情報によってダイナミックに変化させることで、ノートパソコンのバッテリーを長時間持たせる、という使い方もある。その場合にも、周囲の明かりにあった制御をすることで、見やすい画面が実現できる。

カーナビをイメージした光センサーによる表示変更の例

カーナビをイメージした光センサーによる表示変更の例。左は航空写真を元にした詳細な地図だが、外光で見にくい。外光の程度を感知して、右では主な道路とナビゲーションルートだけの表示に切り替えて、明るい日光の下でも見やすくしている

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