究極のストレージ仮想化を行なうストレージ仮想化エンジン
究極のストレージ仮想化製品:ストレージ仮想化エンジン
-->複数の異機種ストレージ筐体を仮想化するには、図4のようにサーバとストレージの間に「仮想化エンジン」を配置する構成が一般的だ。仮想化エンジンは、ストレージが提供する論理ボリュームをいったん取り込み、実装されているボリュームマネージャーやボリュームマスキング機能を通じてサーバに新たな論理(仮想)ボリュームを提供する。そのため、サーバからは仮想化エンジンは大きなストレージのように認識され、一方ストレージに対しては大きなサーバのようにふるまう。
このストレージ仮想化エンジンは、ストレージインフラに以下のような新たな機能を提供する。(図5)
- ボリュームマネージャー機能によるストレージ使用率の向上
- 仮想化エンジンインターフェイスによる異機種ストレージに対する管理の一元化、簡素化
- ストレージ筐体間のI/O無停止でのデータ移動・移行による
- ストレージ使用率やI/O負荷の平準化
- ストレージ階層化の実現
- 無停止でのストレージ筐体リプレイス
- 異機種ストレージ間のレプリケーション
これだけの魅力ある機能を提供するストレージ仮想化エンジンだが、ベンダーがもくろむほどは企業へ普及していないのが実状だ。多くの企業は、ストレージ仮想化エンジン採用に関して、以下のような懸念を持っている。
- 稼働実績と信頼性・保守性
- 基幹業務や大規模ストレージインフラで使用実績は、まだ少ないといわれている。仮想化エンジンの性能や信頼性が、ストレージインフラ全体の性能・信頼性を左右するため、企業ユーザーはより慎重に導入を検討せざるを得ない。また、異なるベンダーのストレージを仮想化する場合は、ベンダー間の保守や責任分界点があいまいになりがちで、障害発生時の対応に不安が残る
- 仮想化レイヤを追加することによる管理の複雑化
- 日常的な運用は、ストレージ仮想化エンジンのインターフェイスのみで賄えるが、物理的な増設作業はストレージに対して実施する必要があり、その際は各々のストレージに対する個別操作が必要となる。そのため、本当に管理を一元化,簡素化できるか疑問を持たれるケースが多い
また、ストレージ仮想化エンジン導入によるコスト削減効果についても、一般に図6のようなポイントが考えられているが、一方ではそれぞれの効果に対して懐疑的な見方もある。したがって、サーバ仮想化ほど明確にコストメリットが謳われていないのが現状だ。
もちろん、サーバ仮想化の技術についても、リリース当初は同様の懸念は多くのユーザーが持っており、普及が進まない時期もあった。各ストレージベンダーが、これらユーザーの懸念をどれだけ払拭できるかが、ストレージ仮想化エンジン普及の鍵となる。
(次ページ、「効果がわかりやすい仮想プロビジョニング」に続く)
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