不況になるとコスト削減が叫ばれ、投資は鈍化する。とはいえ、欧米企業と国内企業には決定的な意識差がある点も事実だ。キャンペーンというと単なる販促活動をイメージする読者が多いと思うが、その奥にあるメッセージを読み解くと、企業や経営者の思想が垣間見えることがある。マイクロソフトが「Save Money」という言葉に込めた意図はなんだろうか?
マイクロソフトは「Save Money.キャンペーン」を、2008年12月15日から2009年6月末まで実施してきた。
コスト削減を実現するための戦略的IT投資の提案が骨子。新聞やオンライン広告、ポータルサイトを通じて経営体質を強化するためのITソリューションやシナリオを紹介、さらに、パートナー各社と共同で具体的なソリューション提案を展開するというものだ。
リーマンショックに対する緊急措置
約6か月間という期間に限定したのも、リーマンショックを発端とした経済環境の減速を背景に、IT投資抑制の動きが顕在化し、それに対する緊急措置キャンペーンとの狙いがあるからだ。
具体的には、運用管理、電力、出張・通信、間接などの各種費用を削減しながら、業務の効率化や社員の生産性向上などを支援するITソリューションを提供する。
Hyper-Vを活用し、既存資産(サーバー/クライアントなど)を有効活用する仮想化テクノロジ、コミュニケーションとコラボレーションの統合化、複数サーバーの統合、ITプラットフォームの標準化、プロジェクト管理による業務の標準化および効率化などが、ソリューションとして提案されてきた。
このキャンペーンは、今年7月以降も拡大する形で提供されている。
企業に成功をもたらす最大の原動力は社員であるとして、ソフトによって社員力強化を支援する「People ready business~社員力を、経営力に。」をSave Money.キャンペーンに統合。新キャンペーンを「社員にチカラを、ITで企業力を~Because IT's everybody's business」と銘打つ。
「社員のチカラに、最適化されたITを融合することで、厳しい時代に打ち勝つ企業基盤の構築を提案する」ことを目的に掲げている。
この新キャンペーンでは、コスト削減とビジネスの成長という2つのビジネス課題に対して、8つのシナリオによるITソリューションを提示。それにデスクトップ最適化、サーバー最適化、統合コミュニケーションという3つのIT技術基盤強化を加え、効率と効果の両面からメリットを追求するものになるという。

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