各種のベンチマーク結果から見れば、同じマシンでも64bit版の方が、10~15%のパフォーマンス向上が見られた。それでは各テストの詳細を見てみよう。
PassMark Performance Test V7
まずは総合ベンチマークテストツールである、豪PassMark社の「Performance Test V7」で計測してみた。結果は以下のグラフのとおりである。どのテストも青いバーが32bit版、赤いバーが64bit版の結果である。
CPU性能は、32bitと64bitでそれほど変わらないと予想していたが、意外やPhenom IIでは64bit版の方が、24%も好成績を収めた。Core 2 Quadに関しては、42%もの性能差を示している。
メモリーアクセスも、Phenom II、Core 2 Quadともに64bitの方が優れた成績を収めている。しかもPhenom IIは20%、Core 2 Quadは41%も速い。ここまで差が付くというのは意外だ。
HDD性能も64bitの方が高速という結果が出た。このベンチマークでもCore 2 Quadの方が伸び率はよく、Phenom IIが30%、Core 2 Quadは35%ほど64bitの方が速い。
2Dグラフィックも同様で、Phenom II、Core 2 Quadともに64bitの方が高速だ。ただし、Core 2 Quadの方が64bit環境での伸びが高い。逆に3Dグラフィックでは、Phenom IIは32bitの方が若干速い。Core 2 Quadでは64bit環境の方が速いので、ディスプレードライバーとの相性かもしれない。
PCMark Vantage
続いては、総合ベンチマークテストの「PCMark Vantage」でのテストを比較した。Performance Testよりも実際のユーセージに近いテストを行なうソフトである。
まず総合成績のPCMarkを見てみると、Phenom IIが64bitが32bitより7%ほど高速なのに対して、Core 2 Quadは64bitが24%も速い。
一方でメモリーのテストでは、Phenom II、Core 2 Quadともに64bitの方が、3.5~4%ほど速い。Performance Testでのメモリーテストの差と比べると小さな差だが、テスト内容にビデオトランスコードやHDDからの画像読み込みといったアプリケーション使用時を想定したテストが含まれているので、メモリーアクセス性能の差が埋もれたと考えられる。
HDDテストも同様の傾向が見られる。Phenom II、Core 2 Quadのどちらも64bitの方が高速だが、Performance Testほどではなく、Phenom IIが6%、Core 2 Quadは10%程度の差に止まっている。
よりアプリケーション使用に近いGaming、Music、Communication(ウェブ閲覧や暗号化データの復号化など)、Productivity(テキスト編集や文字列検索など)などでは、ほとんどの項目で64bitの方が大きく高速化されている。伸び率ではPhenom IIの方が高めだ。
ところが、TV and Movies(ビデオ再生やトランスコードなど)では、32bitの方が性能が上だ。各項目の値を比較してみても、確かに32bitの方がやや速い。ところが、同じ種類のテストをしているほかの項目と見比べてみると、そちらでは64bitの方が速い結果もあるなど、矛盾している。これについては原因不明というのが正直なところだ。
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