線香花火など手持ち花火と人物を組み合わせた写真を、上手に撮影するテクニックを紹介する。夜空に大輪の花を咲かせる花火大会の大玉もよいが、家族と楽しむ手持ち花火もよいものだ。ただ、夕暮れ時の暗くなってからの撮影はデジタルカメラでは意外と難しく、目で見たようには写すにはちょっとした技が必要だ。
手持ち花火をいい雰囲気の写真に撮る
手持ち花火をいい雰囲気で撮影するには、ストロボを内蔵しているデジタルカメラが必要だ。コンパクトでも一眼レフでも構わないが、デジタル一眼レフのレンズは17-55mm程度の焦点距離の標準ズームレンズがよい。また、外付けのストロボとストロボ用ディフューザー(光を拡散させる器具)があればなおよい。
いい雰囲気の写真を撮るために重要なのは、撮影する時間だ。夕涼みとして手持ち花火を楽しむ場合、夕ごはんが終わり真っ暗になってから始めるのが一般的だろう。しかし、いい写真を残すには、いつもより少し早めに始めるとチャンスが広がる。作例は、夜のとばりが訪れる少し前を見計らって撮影したものだ。写真を見ておわかりのように、夏を感じさせる要素として背景に夕暮れと水辺を入れたことで季節感あふれる写真になった。真っ暗闇になってからでは、季節感も遠近感もなくなってしまう。五重塔や眼下に広がる夜景、盆踊りの会場を要素として取り込めば、もっと雰囲気のある写真になるだろう。夜景や盆踊りとまでいかずとも、近隣の景色と夕景を写し込むことで、夏の素敵な記憶として写真を残せる。
「夏の夕暮れ」の雰囲気を演出するため、デジタルカメラの露出設定を1絞り程度アンダーにすることで、通常よりも暗めの撮影になる。人物を照らすストロボも赤目軽減モードにセットする。ストロボ発光部にはディフューザーを付け、ストロボの設定もマイナス1EVにセット。ストロボ側でも被写体の子供を、通常の発光時よりも少しだけ暗めに写るようにする。カメラ側とストロボ側で露出設定を暗めにすることで画像全体が暗くなって、夏の夜の雰囲気が出る。花火の明るさを際立たせるための暗さも演出できる。さらに、シャッタースピードを1/10秒以下に設定すると、花火の光跡を十分に写し込め、画像全体のバランスが整う。
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(「線香花火のはかなさを写真に撮る」へ続く)