8コア以上はMCMで対応する2010年のOpteron
なぜこんな話をするのかと言うと、2010年以降のロードマップに関係してくるからだ。下のスライドは、2008年11月に開催されたアナリスト向けイベント「2008 Financial Analyst Day」で公開されたロードマップであるが、ShanghaiとIstanbulは2010年も引き続き投入されることが明らかになっている。
ただし、このロードマップはその後変更された。というのは、ハイエンドで12コアCPUの「Magny-Cours」(マニ=クール)と、8コアCPUの「Sao Paulo」のみならず、その下のラインナップもすべてDDR3メモリー対応に置き換えが決まったからだ。AMDはDDR3への移行をかなり遅く(2011年程度)予定していたが、2010年中にこの移行が前倒しになった形だ。このDDR3プラットフォームは、パッケージが以下の2種類となっている。
- G34 DDR3×4チャンネル、HyperTransport 3リンク×4チャンネル
- C32 DDR3×2チャンネル、HyperTransport 3リンク×4チャンネル
このG34を使う製品は「Opteron 6000」シリーズ、C32を使う製品が「Opteron 4000」シリーズというモデルナンバーになる。従来のOpteron 8000(8P)/2000(2P)/1000(1P)という形式で推移してきたモデルナンバーが、大きく変わると決定したわけだ。
このOpteron 4000はどういう構造になるか?というのが下の図3である。要するに、無効にしていたHyperTransportリンクを復活させたパッケージとなり、基本的なダイの構造などは一切変わらないままと見られる。
一方でハイエンドのMagny-Cours/Sao Pauloは、図4のような構造となる。つまり2つのShanghaiないしIstanbulコアをMCM(Multi Chip Module)の形で1パッケージに搭載し、その間をHyperTransportリンクでつなぐという構造だ。その結果、DDR3が4チャンネル、HyperTransportリンクも4チャンネル分になるというわけだ。
ちなみにMagny-CoursはIstanbul×2の12コア、Sao PauloはShanghai×2の8コア構成となる。なぜ型番を変えたかというと、MCM構成とした関係で、Magny-Coursは最大4Pシステム用に制限されてしまうからだ。Opteron 4000を使えば最大8P(8ダイ)構成が可能だが、MCMで1P=2ダイとなるから、それが4個分で8ダイになってしまうためである。
もちろん、サードパーティーがこの制約を超える製品をリリースする可能性はあるが、すくなくともAMD自身がサポートするのは4Pまでだそうで、その結果として、今まで8Pを示していた8000番台は使いにくい、という事なのだろう。
そんなわけで、45nm SOIを使ったコアは、2011年あたりまで生き残りそうというのが、現時点のOpteronのロードマップとなる。ちなみにデュアルコア製品に関しては、やはりSocket Fで打ち止めになるようだ。今のところデスクトップの「Socket C32」を使ったデュアルコア製品の予定はない。
今回のまとめ
・SledgeHammer=K8世代の130nm シングルコアCPU、Athens/Troy/Venus=SledgeHammer世代の90nmシングルコアCPU
・Egypt/Italy/Denmark=SledgeHammer世代の90nmデュアルコアCPU、Santa Rosa/Santa Ana=DDR2メモリーに対応した90nmデュアルコアCPU
・Barcelona/Budapest=K10(Phenom)世代の65nmクアッドコアCPU、Shanghai=Barcelonaを45nm化したクアッドコアCPU、Istanbul=Shanghaiベースの6コアCPU
・2010年中に、K10アーキテクチャー/45nmプロセスの12コアCPU「Magny-Cours」、8コアCPUの「Sao Paulo」、4~6コアCPU「Lisbon」が登場予定
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